Androidケータイ,Webブラウザー「Chrome」,ストリート・ビュー…。現在もGoogle社は,次々と業界を驚かせる製品やサービスを投入し続けている。以下は,その背景にある同社の目的や原動力を探った,日経エレクトロニクスの特集記事である。ベンチャー企業から大企業へ脱皮しつつあった当時から2年半あまりが経過した今でも,同社の根本的な姿勢は変わらない。従来のビジョンを着々と現実に変えながら,確固たる足取りで自ら思い描いた未来へ突き進んでいる。(以下の本文は,『日経エレクトロニクス』,2006年2月13日号,pp.83-87から転載しました。内容は執筆時の情報に基づいており,現在では異なる場合があります)



(写真:林幸一郎)

 2006年1月3日,米国である特許が成立した。タイトルは「BASEBAND DIRECT SEQUENCE SPREAD SPECTRUM TRANSCEIVER」(米国特許番号:US 6,982,945 B1)。携帯電話などに用いられているCDMA方式の無線通信を,搬送波を使わずに実現することで,無線回路の簡素化を図る手法に関するものだ(図1)。発明者はCarroll Philip Gossett氏。驚くべきことに権利者として記載されているのは,米Google Inc.の名である。出願は2001年1月のこと。同社の従業員がまだ300人にも満たなかったころだ。

図1 無線通信関連の特許を取得 Google社は検索エンジンといったソフトウエアだけでなく,ハードウエアなど幅広い分野の技術を持つ。例えば2006年1月3日には,「BASEBAND DIRECT SEQUENCE SPREAD SPECTRUM TRANSCEIVER」という無線通信に関する特許を成立させた。2005年9月には,米航空宇宙局(NASA)と,大規模分散コンピューティングや,バイオとナノテクの融合技術などさまざまな分野で共同研究することを発表している。
図1 無線通信関連の特許を取得 Google社は検索エンジンといったソフトウエアだけでなく,ハードウエアなど幅広い分野の技術を持つ。例えば2006年1月3日には,「BASEBAND DIRECT SEQUENCE SPREAD SPECTRUM TRANSCEIVER」という無線通信に関する特許を成立させた。2005年9月には,米航空宇宙局(NASA)と,大規模分散コンピューティングや,バイオとナノテクの融合技術などさまざまな分野で共同研究することを発表している。 (画像のクリックで拡大)