図1◎ソニー執行役EVP兼CFOの大根田伸行氏
図1◎ソニー執行役EVP兼CFOの大根田伸行氏
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図2◎営業利益の下方修正。エレクトロニクス事業が1900億円の減益となる見込み。液晶テレビ,デジタルカメラなど主力商品の販売が計画を下回る。為替の影響により,ゲーム事業は今年度の赤字脱却は難しくなった。
図2◎営業利益の下方修正。エレクトロニクス事業が1900億円の減益となる見込み。液晶テレビ,デジタルカメラなど主力商品の販売が計画を下回る。為替の影響により,ゲーム事業は今年度の赤字脱却は難しくなった。
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 ソニーは,2008年10月23日,2008年度の連結業績の下方修正について記者会見を開いた(Tech-On!の第一報,図1)。営業利益の下方修正額は2700億円。うち,エレクトロニクス事業の下方修正額は1900億円で,1000億円が円高の影響,900億円が景気減速による市場の悪化などによるもの。エレクトロニクス事業では,特に9月に入って市場が急落し,年末商戦向けの受注も減った。価格競争も進み,液晶テレビ事業のほかゲーム事業も赤字のままとなりそうだ。

 前回の業績の見通しを発表した2008年7月時点における通期の為替の見通しは,1米ドル=105円前後,1ユーロ=162円前後の想定だったが,その後の円高の進行で1米ドル=100円前後,1ユーロ=140円前後に見直した。この結果,エレクトロニクス事業で約1000億円,ゲーム事業で約300億円の減益要因となった(図2)。この影響を受け,ゲーム事業は「オペレーション上は黒字体質で動いていた」(同社執行役EVP兼CFOの大根田伸行氏)が,今年度の黒字転換は難しくなった。

 為替の影響を除いても,エレクトロニクス事業は消費者の購買意欲の減退を受け,主力製品の販売台数を下方修正した。液晶テレビは前回見通しから100万台減の1600万台に,デジタルカメラは200万台減の2400万台に,デジタルビデオカメラは70万台減の700万台となる見通し。価格下落も厳しい。同社は液晶テレビの2008年度の黒字転換を目指してきたが,「かなり厳しくなった」(同氏)。

 市況の悪化は,金融危機の震源地となった米国や欧州だけでなく,同社が今後の成長源と期待する中南米や中国など新興国にも広がり,伸び率が鈍化している。

 同社は前中期経営計画を実施した過去3年間で経営体質の強化を図ってきたが,今後,新たな構造改革を打ち出すという。その内容は,具体的な計画が決まったら発表するとしながらも,「製造事業所の統廃合や人員削減などのアクションプランが出てきても不思議ではない」(大根田氏)。

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