こうして定義したハードウエアには,「goldfish」という名称を付けている。想定する画面サイズは320×240画素のQVGAと480×320画素のHVGAの2種類。それぞれ横長のランドスケープ・モードと,縦長のポートレート・モードで利用できる(図3)。画面サイズの変化に伴う見栄えの違いなどを,エミュレータでチェックできる。

図3 エミュレータの実行画面 4種の設定が標準で用意してある。解像度はQVGAとHVGAの2種類。それらを縦長(ポートレート)か横長(ランドスケープ)で利用できる。携帯電話機のキーボード入力は,エミュレータ上はソフト・キーボードとして実装している。
図3 エミュレータの実行画面 4種の設定が標準で用意してある。解像度はQVGAとHVGAの2種類。それらを縦長(ポートレート)か横長(ランドスケープ)で利用できる。携帯電話機のキーボード入力は,エミュレータ上はソフト・キーボードとして実装している。 (画像のクリックで拡大)

ファイルの構成は独特

 エミュレーション環境では,パソコンで動く「Android Debug Bridge(adb)」というツールを使ってLinuxのシェルを操作できる。エミュレータ上で動く「adbd」というプロセスと通信することで実現している注6)

注6) 携帯電話機にAndroidを実装する際には,このプロセスは動作させないとみられる。

 このシェルを通じてディレクトリやファイルの構成を眺めてみると,ごく普通のLinuxに近いように見える。例えば起動時に実行されるスクリプトは「etc」ディレクトリに格納されている。しかし,よく見るとAndroidで特徴的なファイルは,標準的なLinuxではあまり見かけない「system」「data」といったディレクトリにある。例えばAndroidのDalvik VMの本体は,systemディレクトリ配下のbinディレクトリに入っている(図4)。

図4 Androidのファイル・システム Linuxに似た名称のディレクトリもあるが,あまり積極的に使われていない。例えば一般的なLinuxでは「/usr/bin/」に格納されるプログラム群が,「/system/bin/」に格納されている。Androidで追加したディレクトリを黄色で表現した。オレンジ色はファイルを示している。
図4 Androidのファイル・システム Linuxに似た名称のディレクトリもあるが,あまり積極的に使われていない。例えば一般的なLinuxでは「/usr/bin/」に格納されるプログラム群が,「/system/bin/」に格納されている。Androidで追加したディレクトリを黄色で表現した。オレンジ色はファイルを示している。 (画像のクリックで拡大)