Androidと競合する既存のOSは,ここまで思い切った手段を用いていなかった。Androidと同様にLinuxをカーネルに用いたソフトウエア・プラットフォームを開発するLiMo Foundationの場合,有償で参加するメンバー企業だけが新しいソース・コードを提案し,メンバー企業だけに開示する形を採っている注6)。またSymbian OSやWindows Mobile,BREWなどはライセンシーだけにソース・コードを開示するか,そもそもソース・コードを開示しない形態である。いずれも,ソース・コードの修正を希望する際には開発企業に依頼する必要があった(図5)。
注6) LiMo Foundationは4種類のライセンス形態を用意する。一つは,他のオープンソース・プロジェクトの決定に従う「Open Source」。GPLやApacheなどのライセンス条件に従う。続いて「FPL」には2種類あり,特許権の行使を認めない代わりに一般コードへの組み入れが認められるCommon Capable条件と,特許権に対する非差別的なライセンス料の行使を認める代わりに一般コードへの組み入れが認められないNon-Common Capable条件がある。最後の一つが,著作権と特許権の行使を認める「Proprietary」である。
Google社はソフトウエアの開発者を鼓舞する別の手段も用意している。賞金総額1000万米ドル(日本円で約11億円)のアプリケーション・ソフトウエアの開発コンテストである。ソフトウエア開発キット(SDK)の公開とともにこれを発表することで,2008年に対応端末が登場するまでにアプリケーション・ソフトウエアの品ぞろえを豊富にする目算だろう。