米DisplaySearch社は,液晶パネルの駆動方式に関する市場調査の結果を発表した(発表資料)。それによると,テレビ向け液晶パネルの出荷面積を駆動方式で見た場合,2008年は全体の約70%がVA(vertical alignment)方式となる見通し。FFS(Fringe Field Switching)方式を含むIPS(in-plane switching) 方式が占める割合は24%で,視野角を拡大する効果があるWVフィルム(wide viewing film)を使ったTN(twisted nematic)方式の割合は6%になる見込みという。今後もVA方式が市場で優位なことは変わらず,2012年の駆動方式別の出荷面積シェアは,VA方式が65%を占めると予測する。FFS方式を含むIPS方式のシェアは28%,WVフィルムを使ったTN方式のシェアは7%と見込む。

 ただし,この傾向は画面寸法別で見た場合には異なる。26型より小さいテレビ向け液晶パネル市場では,2009年以降,IPS方式とVA方式はなくなるとDisplaySearch社は予測する。19ワイド型や22ワイド型,15.6ワイド型,18.5ワイド型,20ワイド型,21.6ワイド型などで,WVフィルムを使ったTN方式の採用が増えるためという。

 26型のテレビ向け液晶パネル市場でも,WVフィルムを使ったTN方式のシェアは増えるとみる。2006年の面積ベースのシェアはわずか4%だったが,2012年には81%まで急速に拡大すると予測する。DisplaySearch社はこの急成長の要因として,WVフィルムを使ったTN方式がコストや歩留まりの点で有利であることや,IPS方式やVA方式と同水準の性能まで高まることを挙げる。この市場において,IPS方式は2010年から段階的に減少し,VA方式は2012年に19%までシェアを落とす見込みという。

 一方,モニター向け液晶パネル市場を見ると,2008年の出荷面積の95%はWVフィルムを使ったTN方式となる見通し。IPS方式とVA方式は上位機種に使われ,それぞれ1%程度のシェアになると予測する。モニター向け液晶パネル市場では,23~24型のWVフィルムを使ったTN方式が急速に成長している。23~24型におけるフィルムを使ったTN方式の出荷面積のシェアは,2007年には49%だった。これが2008年には82%に,2012年には95%に達するとみる。また,ノート・パソコン向け液晶パネル市場では,2012年に面積ベースの出荷量の95%がWVフィルムを使わないTN方式になる見通しという。