南東北がん陽子線治療センターの外観
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粒子線がん治療装置のレイアウトのイメージ図
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 三菱電機は,脳神経疾患研究所付属南東北がん陽子線治療センターに,粒子線がん治療装置を納入したことを発表した。2008年10月17日から,同装置を利用したがん治療が開始される。粒子線がん治療装置はこれまで,公的医療機関での利用事例はあったが,民間医療機関での実運用事例は「国内初」(三菱電機)という。

 三菱電機は2006年5月に,脳神経疾患研究所に対して粒子線がん治療装置を納入することを発表していた(Tech-On!関連記事)。当初の計画通り,2008年の導入・稼働に至った。

 粒子線治療は,従来のがん治療法として幅広く利用されているX線やガンマ線を用いた放射線治療に比べて患者への負担が少なく,「夢のがん治療技術」とされている。粒子線は,人体の表面からある深さにおいて吸収量がピークになる特性を備えるため,病巣に集中的に照射できる。これに対してX線やガンマ線を用いた放射線治療は一般に,人体の表面からの深さにかかわらず放射線の吸収量が高いため,病巣に達するまでに正常な細胞にも影響を与えてしまうという副作用の懸念がある。

■ 関連インタビュー 「夢のがん治療装置を実現し,20兆円の市場をつくる」を,日経エレクトロニクス2008年9月8日号に掲載しています。粒子線がん治療装置の価格を現在の1/10以下,大きさを普通の診察室に入る程度にコンパクトにする研究プロジェクトについて,けいはんな新産業創出・交流センター 理事長 センター長の長岡良富氏に聞いたものです。