Nokia社のOlli-Pekka Kallasvuo氏
Nokia社のOlli-Pekka Kallasvuo氏
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 「1990年代のモバイル市場では欧州が世界の最先端を走り,米国は遅れを取った。しかし,今後は米国が世界の先頭に踊り出ると思う」。フィンランドNokia Corp.のPresident兼CEOであるOlli-Pekka Kallasvuo氏が2008年10月2日に米シリコンバレーで開催されたイベント「The Churchill Club」でこう述べた。

 Kallasvuo氏のこの発言の背景には,インターネットと携帯端末を融合したアプリケーションが今後のモバイル市場の原動力になるとの主張がある。1990年代と同様に米国がインターネット市場で世界を牽引し,それを足がかりにして,今後のモバイルとインターネットの融合市場を先導していくだろうとKallasvuo氏は説明した。2000年代に入り,「パソコン業界から米Apple Inc.,インターネット業界から米Google Inc.,ソフトウエア業界から米Microsoft Corp.が,それぞれ新たにモバイル市場に参入した」と指摘した上で,「今後どのような展開になるか非常に興味深い」(同氏)と述べた。

 米国の携帯電話では通話回線がつながりづらい地域があるという世間の常識に対して,Kallasvuo氏は逆に「米国の携帯電話事業者はデータ通信市場では世界的に高い競争力を持つ」とした。特に米AT&T Inc.や米Verizon Wireless社は無線ネットワークのデータ通信の速度や容量の向上に積極的に取り組んでいる。さらに,米国の携帯電話事業者が提供するデータ通信の価格設定は「世界的に見てとても競争力がある」と指摘した。「米国の消費者は手軽な価格でたくさんのデータを取得できる」(同氏)。