三井金属は,容量が1μF/cm2と従来品の500倍である基板内蔵向けのキャパシタ材料「AEC-1」を開発した(PDFの発表資料)。AEC-1は多層基板に埋め込める程度に薄く,基板に内蔵することで,実装コストの削減や基板面積の低減,製造工程の簡略化を図ることができるという。特にIC直下の基板内に埋め込むことでICとの距離を狭めることができるため,高速処理を行うICの雑音発生を抑えられるとする。

 このキャパシタ材料は,電極層である金属箔と絶縁層である金属酸化物セラミックスが密着した複合材料である。厚さ0.6μmのセラミックスが,厚さ2~20μmの銅(Cu)電極と,厚さ20~50μmのニッケル(Ni)電極でサンドイッチ状に挟まれた構造をとる。このような構造は,通常のエッチング工程で回路基板の両面にパターン加工ができるという。

 三井金属は今後,各社との協業を展開して5年後をメドに本格的な事業化を目指す。また電極材をNiから安価で電気的特性の優れたCuに替えることを検討しているという。

《訂正》記事掲載当初,第3段落で「Cu」を「鋼」と誤って掲載しておりました。お詫びして訂正いたします。記事本文は既に訂正済みです。

AEC-1の構成図
AEC-1の構成図
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AEC-1の埋込み加工例
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