大手レコード会社の英EMIなどが,音楽ストレージ・サービスを運営する米MP3tunesと同社CEOのMichael Robertson氏を提訴していた件で,米ニューヨーク州連邦地方裁判所は,Robertson氏に対する訴えを退けた。ただし,MP3tunesとそのサービスに対する訴訟は審理を進める。

 EMIは2007年11月に,14社の音楽レーベルおよび出版社とともに,著作権を侵害されたとしてMP3tunesとRobertson氏を提訴した。MP3tunesは,個人ユーザーが音楽ライブラリを保存するためのオンラインの「ロッカー」を提供するサービスを展開している。

 同サービスの登録ユーザーは15万人で,各自のロッカーはパスワードで保護されている。無償と有償のアカウントがあり,ユーザーはパソコンのほか,ゲーム機,DVR,携帯電話などのさまざまな端末から,保存している音楽を再生して聞くことができる。

 今回の裁判所の判断を受けてRobertson氏は,「CEOを個人的に訴えるのは,メディア企業がよく使う不愉快な手段だ。和解に応じるか,そうでなければすべてを失うことになると,個人を脅しにかかっている」とコメントした。また,消費者はどこでも自身が所有する音楽にアクセスできるようになるべきであり,今後の裁判では,MP3tunesが合法的な責任ある方法でサービスを行っていることを説明するとしている。

 同氏は,ユーザーが商用サービスを介してオンライン上に保存した音楽にアクセスすることは,米Googleなどのクラウド・サービスを使って,個人のドキュメントや画像などのデータをオンライン保存して利用するのと類似した手段だと指摘している。

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