図1 MIMO対応受信機の開発に向けたテスタ「Agilent N5106A PXBシリーズ MIMO受信機テスタ」
図1 MIMO対応受信機の開発に向けたテスタ「Agilent N5106A PXBシリーズ MIMO受信機テスタ」
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図2 連続受信モードでの試験と,対向試験の両方に利用できる
図2 連続受信モードでの試験と,対向試験の両方に利用できる
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図3 各種の規格が求めるプロファイルを選んでフェージングの想定環境を切り替える
図3 各種の規格が求めるプロファイルを選んでフェージングの想定環境を切り替える
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 アジレント・テクノロジーは,送信機と受信機が互いに複数本のアンテナを使って送受信することで通信容量を高める技術であるMIMO(multiple input multiple output)に対応する受信機の開発に向けたテスタ「Agilent N5106A PXBシリーズ MIMO受信機テスタ」を発売した(図1発表資料)。LTE(long term evolution)やモバイルWiMAX,HSPA Evolutionといった次世代の移動体通信方式で用いられるMIMO技術に対応する受信機の研究・開発において,初期から後期まで継続して利用できるように各種の機能を盛り込んだ。2008年11月に出荷を開始する。

 N5106Aは,送信端の信号を生成する機能,信号を時間軸および周波数軸で拡散させて実際の受信環境での信号劣化を模擬するフェージング・シミュレーションの機能などを備える。いずれもデジタル処理のため,セットアップ作業が容易になるとする。

 開発初期段階に行う連続受信モードでの試験では,N5106Aが送信機のベースバンド信号の生成とフェージングをかける処理を行う。開発後期や認証段階での対向試験では,送信機が発した信号にリアルタイムでフェージングをかける機器として利用する。なお,送信機が発した信号を読み込む処理にはアンテナの本数分のスペクトラム・アナライザを用意する必要がある(図2)。

 生成可能な信号は,直交(I/Q)信号それぞれ14ビットで,帯域幅は120MHz。フェージングをかける処理では,これらの信号に対して最大24のマルチパスを設定できる。2×2,2×4,4×2といった各種のマルチアンテナ構成に対応する。

 各種の通信規格が要求するプロファイルをあらかじめ登録してあり,これらのプロファイルを選択することによってフェージングの想定環境を変えられる(図3)。アンテナの高さやアンテナ間の距離といったパラメータも設定できる。モジュール構成を採用しており,1チャネルの信号に対する処理を行うDSP搭載モジュール,2チャネルの信号に利用可能な入出力モジュールを後から追加できる。