ソニーは,カメラが自動的に人の顔を検知・追尾し,構図(フレーミング)を調整した上でシャッターを切るデジタル・カメラを試作,「photokina」に出展した。シャッターは人の笑顔などを検出した時点で切る。フレーミングは,顔の向きや大きさなどから決める。フレーミングには光学ズームのほか,モータ制御の雲台(カメラを据えつける台)を用いることができる。
今回の試作機における非常に大きな利点は,写真に収まる人がカメラを意識しないで済むこと。「実際に試作し使ってもらって,これまでのカメラがいかにこわばった顔ばかり撮ってしまっていたのかが分かった。今回の試作機なら,驚くほど自然な笑顔を撮れる」(ソニーの開発者)。実際,会場では来場者がソニーの説明員から話を聞く合間に浮かべた,にこやかな笑顔を,試作機が次々と撮影していた。
商品化の時期や,今回の機能を実装するカメラの仕様は未定である。photokinaに出展したのはニーズを調査するためという。一般の消費者が使ったときの魅力は未知数だが,高いISO感度でもノイズの少ない撮像素子(シャッター速度を高めることで被写体ブレを抑制するため)や,ある程度の高い連写速度(撮影の好機を逃さないため),数Gバイトのフラッシュ・メモリ(画像の誤認識問題を緩和するため),そしてJPEGファイルを高速に再生できる装置(前記と同じ理由)などを組み合わせれば,ユーザーに新しい写真体験を提供できる可能性が高い。
このほか,ソニー・ブースで目を引いた展示を写真で紹介する。