自動化すべきポイントが明確に

上述の通り,MMOG/LEは,世界標準の業務レベルを実現・維持するためにどのようなプロセスの改善が必要であるかを特定するのに有効です。 例えば,プロセスを自動化すべき部分,データ処理を手動から自動に変更すべき部分が明確になります。自社の供給拠点でMMOG/LEを使用しているOEMメーカーによれば,資材資源計画の自動化システムやバーコード処理,EDI(電子データ交換)などを使用せずに手作業でデータ処理を行った場合,結果的にミスが増えました。

2004年以降,MMOG/LEを継続的改善の自己評価に使用した結果,多くのサプライヤーが業務を著しく改善できたと報告しています。世界中の何千社もの自動車関連サプライヤーが,MMOG/LE自己評価を使用して,資材管理やロジスティクス業務の改善を図っています。そうしたサプライヤーのなかには,原材料および最終製品在庫を50%,特別輸送費を85%,陳腐化費用(在庫の陳腐化による損失)を80%削減することに成功し,サプライチェーン全体の運用効率が大幅に向上した会社も数多くあります。

新興市場におけるサプライヤー育成基準として活用

グローバルに事業を展開するOEMメーカーやティア1サプライヤーには,MMOG/LEを成熟市場だけで使用するのではなく,中東欧/中国/インド/ブラジルといった新興市場に導入し,サプライヤーに対して自動車業界における資材管理のベストプラクティスを構築するトレーニングに役立てようと試みる企業もあります。一方,そうした新興市場のサプライヤーの多くが,MMOG/LEを自社で採用することで,OEMメーカーやティア1サプライヤーに対し,世界に通用する供給能力を備えていることを証明しようとしています。

加えて,新興市場に既に進出しているか,これから進出しようとしているOEMメーカーおよびティア1サプライヤーとしては,MMOG/LEのような資材管理ガイドラインを導入することで,ビジネスが遠い海外で行われることによってさらに増える供給リスクを,少しでも軽減したいという思いもあります。万が一,出荷が遅れたり,あるいは誤って出荷したコンポーネントを正しいものと交換するために生産が遅れたりした場合,顧客とのビジネス上の関係に影響が及ぶのはもちろんですが,それを補うために発生した費用(余分な人件費,資材関連費用など)も発生することになりかねません。適切な資材管理プラクティスを確実に実施しておくことで,サプライチェーン間の連携がよりスムーズに行われるようになることをMMOG/LEに期待しているのです。

業界を超えた活用が進む

自動車業界の要求から生まれたMMOG/LEですが,ベストプラクティスに対するベンチマーキングや,工場のオペレーションにおける弱点の特定および改善プランの策定,全社的な業務を効率化するためのグローバルモデルとして極めて有効なツールであることから,他業界からもMMOG/LEへの関心が急速に高まっています。AIAGおよびOdetteの報告によれば,航空宇宙/化学/電子/一般産業/病院/建設/小売といった分野でもMMOG/LEが使用されるようになっています。