【IMTS】周辺機器のパートナーと組んで低価格メーカーに対抗するオークマ
急成長するアジアの低価格メーカーに対し,「現時点ではコスト削減に関して抜本的なブレークスルーがなく,彼らと同じ土俵を避けている」。こう語るのは,IMTS2008(2008年9月8〜13日)で同社が構えたブースで説明に立ったオークマの社員だ。他の日本メーカーと同じく,同社もアジアメーカーに対し,直接低価格で競争する方法は考えていない。「生産性の向上で勝負する」(同社員)ことが,オークマの戦略だ。
「韓国や台湾メーカーが打ち出す低価格は,確かに脅威。しかし,顧客に掛かる本当のコストを算出すれば,当社に勝ち目はある」と同社員は言う。米国市場では,初期投資である工作機械の購入価格に目を奪われ,ランニングコストを含めたトータルのコストに対する正確な計算を苦手とする顧客も少なくないという。現状では,オークマがアジアメーカーと同じ土俵に立った低価格競争をすることはできないが,アジアメーカーを上回る高い生産性の工作機械を提供し,それで得られる利点を米国の顧客にきちんと伝えることができれば,アジアメーカーに十分に対抗できるという考えのようだ。
その一例が,今回の展示で見せたパートナー企業とのモデル工場(図1)。オークマが前回のIMTS2006で発表した,自社の工作機械に他社の周辺機器を適応させるための開発思想である「THiNC」を,“実体”として見せたものだ。これにより,顧客は,THiNCのパートナー企業の周辺機器であれば,オークマ以外の企業の製品であっても自由に選ぶことができる。前回は概念発表にとどまっていた。
THiNCでは,オークマが内製するNC装置「OSP-P200」のインタフェースを外部に公開する。この公開されたインタフェース情報を基に,周辺機器メーカーが,オークマの工作機械に完全に対応する周辺機器を開発する。これにより,顧客は工作機械本体の機能に加えて,選んだ周辺機器がもたらす付加機能を手にでき,トータルの生産性の向上を享受できる。
このモデル工場では,農業機械のエンジンの加工を想定した。部品加工から組み立てまで,エンジンを造る一連の工程を備えた工場だ。このうち,例えばコンロッドの加工では,工具の「最応制御」機能を付加した工作機械が稼動する(図2)。米国の工作機械の制御系ソフトウエアメーカーであるCaron社がTHiNCに基づいて開発した工具の最応制御のソフトを,オークマのNC装置であるOSP-P200に組み込んだ。これをオークマ製の立型3軸マシニングセンタ(MC)「MB-56」に搭載したものだ。
工具の最応制御では,主軸の電流を計測することで,ワークを加工中に受ける工具の負荷をリアルタイムで検出する(図3)。これにより,工具の摩耗や欠損などを把握し,工具を逃がしたり,回転数を変えたり,主軸を止めたりして,工具の寿命を伸ばす。加えて,欠損したままの工具で切削すると発生し得る不良品のムダを排除できる。
この付加機能が生み出す生産性の向上により,工作機械本体の価格が高くても,ワークを完成させるまでに掛かる一連のトータルコストは,「アジアメーカーよりも低くなる」(同社員)。
加えて,周辺機器を含めた工作機械の購入価格は,工作機械メーカーが周辺機器を内製した場合よりも安くなる上,納期も早くなり,使い勝手も優れるという。これは,「餅は餅屋の発想だから」(同社員)。ある周辺機器に特化した専門メーカーの方が,工作機械メーカーよりも,その周辺機器に関しては機能や品質,納期,コストついて高い競争力を持つ。こうした外部の競争力に対抗するよりも,オークマのパートナー企業として積極的に取り込んだ方が,顧客にとっても,オークマやパートナー企業にとっても得になるというのが,オークマがTHiNCに力を入れる理由である。
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