三菱電機は,洗濯機事業を終息させると発表した(発表資料)。1956年から50年以上にわたって続いた歴史に終止符を打つ。2008年10月で生産を終了し,現在販売中の機種の在庫がなくなり次第,2008年内をメドに販売も終了する。ただし,アフター・サービスは今後も継続していく。

 洗濯機事業の2007年度の業績は,出荷台数が約37万台,売上高は約116億円だった。損益については明らかにしていないが,直近の2~3年は赤字を出していたという。

 国内の白物家電市場では,市場全体が頭打ちの中で高級機種の需要が伸びており,洗濯機市場ではドラム式/縦型の洗濯乾燥機でのシェア獲得が収益確保の要件となっている。三菱電機も2007年5月,同社として初めてドラム式洗濯乾燥機を投入した(Tech-On!関連記事)。他社より遅れての参入となった分,ドラムの角度を変える新機構の採用でユーザー獲得を狙ったが,その「ムービングドラム」機に複数の不具合が発生(三菱電機の告知ページ)。発売後わずか3カ月ほどで販売中止に追い込まれた。品質面での課題をクリアした後継機の投入も検討したが,巻き返しは困難と判断し,洗濯機事業全般からの撤退を決めた。

 三菱電機の洗濯機事業には約120人の従業員が携わっている。同社としては今後,冷蔵冷凍ショーケースなどの空調冷熱事業や,プラスチックのリサイクル事業などへの配置転換を進める考え。

《追加》
記事初出後の取材で得た情報をもとに,当日18:30に記事を再構成しました。

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