経済産業省製造産業局のファインセラミックス室は,平成21年度(2009年度)から,「革新的省エネセラミックス製造技術開発プロジェクト」を予算額3億円で開始する計画を明らかにした。セラミック製の小型・中空ユニットの標準品を小型炉で大量生産し,このユニットを多数組み合わせることで複雑形状の大型部材セラミックス構造体をつくる部材製造技術を開発するプロジェクトで,平成21年度から25年度(2013年度)までの5年計画で実施する。

 このプロジェクトは,玩具「レゴ」(商品名)のように,セラミックス製小型・中空ユニットを大量に組み合わせて,大型で複雑形状のセラミックス構造体を安く,省エネルギーでつくることを目指す。これが実用化できると,大型セラミックス構造体を低コストに製造できるのが利点である。これまで,一定以上の大きさの複雑形状品は,焼結炉の大きさの制限から製造コストが高くなる悩みがあった。

 革新的省エネセラミックス製造技術は,産業技術総合研究所の先進製造プロセス研究部門の高温部材化プロセス研究グループ(グループ長は北英紀氏)が研究開発してきたステレオファブリック造形技術を基盤技術とする。精密な中空構造ユニットを立体的に集積して複雑形状の大型セラミックス構造体を組み上げる製造技術の実用化を目指す。先進製造プロセス研究部門が目標とする「最小の資源・エネルギー・廃棄物で最大限の機能・特性を発揮する生産プロセス」である“ミニマルマニュファクチャリング”を実現する。これによって,環境調和性と技術競争力の両立を図るイノベーションを実現する。

 基本となるセラミックス製の小型中空ユニットを接合し,一体化する技術の開発がポイントだ。信頼性の高い接合・一体化技術を確立し,接合温度を低温化したり,局所的に接合する技術なども実用化する。また,基本ユニット表面に溶融金属に対する濡れ性を高める機能を付加する,といった高性能化技術の実用化検討も進める。