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富士通,ゴム部材による紙搬送機構の動的シミュレーション技術を開発

2008/09/05 12:35
木崎 健太郎=日経ものづくり
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LS-DYNAの画面。左下が紙幣,右にある2本の青い太線がゴム製羽根車の一部
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高速度カメラの画面
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 富士通研究所と富士通は,プリンタやスキャナ,コピー機,ATM(現金自動預け払い機)などに使われる用紙や紙幣の搬送機構について,その挙動を動的にシミュレーションする技術を開発した。ゴムの摩擦力を利用して紙の束から1枚ずつ取り出して搬送する機構は,多くの機器に含まれるが,開発時には基本的に試作と実験を繰り返す試行錯誤しか手がなかった。富士通は線形動的構造解析ツール「LS-DYNA」(米Livermore Software Technology Corporation )を改良するなどして,摩擦と静電気による効果や影響を実機同様に表現する手法を開発した。

 摩擦については,ゴムと紙では特殊な摩擦挙動が発生して動摩擦係数が大きくなることがあり,通常の摩擦係数の定義だけでは十分に現象を再現できない。そこでLS-DYNAで接触定義を最適化するとともに,ゴムと紙(シート)が接触した時に生じる力を表現する方法を開発。これをATMの紙幣収納機構の開発で実際に使ってみたところ,シミュレーションによって得られた羽根車の変形形状と,高速度カメラで撮影した形状とがほぼ一致した。ほぼ,シミュレーションが実機の現象を再現したと見られる。

 静電気力に関しては,特にレーザープリンタでトナーの吸着に使う静電気によって搬送中の用紙に生じる現象の解明がこれまで困難だった。紙にかかる静電気力の理論式を導き出し,これをLS-DYNAの外部プログラムとして追加した。連帳紙用(紙送り用の穴が開いていて,ミシン目で区切られている連続用紙)の高速プリンタ開発での実証で,観測不可能な位置で用紙が浮き上がる現象を解明できたという。

 富士通はデジタル・モックアップ・ツール「VPS」でも,例えば横長の板を多数連結したようなモデルを使って,紙の搬送機構について簡易な動作シミュレーションを実行したことがあるという。しかし紙とローラの間のすべりなどまでは,計算していなかった。開発した技術は,精密に現象を再現して,対策案を検討するのに使えるとみられる。

 LS-DYNAは,富士通がベンダーとして販売もしているツール。自動車の衝突解析などでよく使われるが,富士通は開発した技術を用いて,シート搬送にかかわる分野へも今後売り込んでいく考え。

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