図1 シャープが展示した「ミニDCエコハウス」
図1 シャープが展示した「ミニDCエコハウス」
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 シャープは2008年9月1日,同社の新製品発表会で,太陽電池と二次電池を組み合わせた直流給電システムのコンセプト展示「ミニDCエコハウス」を公開した。

 シャープは,2012年の創業100年に向けたビジョンとして「省エネ・創エネ機器を核とした環境・健康事業で世界に貢献する」という方針を掲げている。その答えのうちの一つが「DCエコハウス」だ。

 現在の家庭用電源は交流であり,太陽電池などで自家発電した場合も一度直流から交流に変換している。とはいえ,今日のデジタル家電のほとんどは内部では直流で稼動しており,電源回路で交流から直流に変換している。このため,太陽電池からの給電では,直流から交流,交流から直流と2回の変換を行うことになり,大きな変換ロスが発生してしまう。それに対し,DCエコハウスは,太陽電池で発電した電力を2次電池に貯蔵し,直流のまま機器を駆動するので,変換ロスがない。2次電池の容量を使い切った際には家庭用電源を直流に変換するので,変換は1回で済む。そのため,従来に比べて電力を節約できる。

 しかし,DCエコハウスの事業化は難しい。上述のように,現在普及している電化製品は交流電源に対応して設計されている。このためDCエコハウスを導入するには,家庭内の電化製品を直流に対応した機器に置き換える必要がある。シャープ 代表取締役社長の片山幹雄氏は「アフリカなど海外の(いまだインフラが整備されていない地域の)ほうが,普及するのは早いかもしれない」とコメントした。