2008年8月29日,「デジタル・コンテンツの流通の促進等に関する検討委員会(デジコン委)」(情報通信審議会の下部組織)の第43回会合が開かれた。同委の審議結果を反映し,情通審は2008年6月27日に「『デジタル・コンテンツの流通の促進』及び『コンテンツ競争力強化のための法制度の在り方』 第五次中間答申」を公表している。これに対して,7月1日~8月12日の期間に行われた意見募集(パブリックコメント)で寄せられた意見に関して,今回は議論した。

 初めにデジコン委の主査を務める慶応大学の村井純氏が「第五次中間答申はいろいろな宿題含みでまとめた経緯がある。寄せられたパブコメを検討しつつ,今後の議論の方向性を考えて欲しい」と述べ,村井氏が発言者を指名する形で議論が始まった。

 パブリックコメントは38の個人,団体から全部で129件の意見が寄せられた。内訳は個人名が13件,有識者団体が6団体,権利者団体が6団体,放送事業者関連が10団体,メーカー関連が3団体だった。なお,傍聴者に配布されたパブリックコメントを集約した資料では,意見提出者の具体的な個人名や団体名は伏せられていた。

 寄せられた意見のうち,複数の委員からコメントが集中したのが,電子情報技術産業協会(JEITA)が提出したと思われる意見(資料ではメーカー団体と記載)と,いわゆる「ネット法」を提言しているデジタル・コンテンツ法有識者フォーラムが提出したと思われる意見(資料では有識者団体と記載)である。

 JEITAが提出したと思われる意見に関して,NPO法人東京都地域婦人団体連盟の長田三紀氏は,「本委員会の議論にメーカー団体は参加していないという意見表明に驚いた。ここに来ているメーカーの代表の方は,団体の代表という立場も踏まえて発言されていると思っていた」と述べた。テレビ朝日の福田俊男氏は,「JEITAは放送事業者の業界団体が本委員会の議論に参加していると誤解している。民放連の立場で参加している委員はいない。みんなそれぞれの放送局の立場で,ある意味,リスクを背負って参加している」と強い口調で説明した。実演家著作隣接権センター(CPRA)の椎名和夫氏は,「ここにいるメンバーが長い時間を費やした議論で得た答申に対して,この時点に至って文句を言うJEITAの姿勢が信じられない。我々の努力に泥を塗ってみせることにどんなメリットを見いだしているのか」と不快感をあらわにした。