総務省は2008年8月29日,同日に行った平成21年度予算の概算要求のうち,地上デジタル放送に関連した予算,総額約600億円の内訳について説明した。情報通信審議会 情報通信政策部会の第40回「地上デジタル放送推進に関する検討委員会」で行ったもの。

 内訳は以下の通り。

項目金額種別財源
●国民に地デジを理解してもらうための取り組み
デジタル受信相談体制の充実,強化113億円拡充電波利用料
コールセンター運営等8億円継続一般財源
●受信側の取り組み
受信機器購入等の支援128億円新設電波利用料
高齢者・障害者等への働きかけ,サポート97億円新設電波利用料
辺地共聴施設の改修等の支援52億円拡充電波利用料
電波障害対策共聴施設の改修の支援59億円新設電波利用料
●送信側の取り組み
デジタル中継局の整備の支援17億円継続電波利用料
デジタル混信対策6億円拡充電波利用料
暫定的な衛星利用による難視聴対策10億円新設電波利用料
ケーブルテレビ施設の整備
(ICT交付金のメニューの一つ)
159億円
の内数
継続一般財源
●アナログ放送終了等に当たっての取り組み等
完全デジタル化のリハーサル3億円新設一般財源
アナログ停波後のチャンネル切替1億円新設電波利用料
その他(地方局経費,各種調査等)4億円拡充一部一般財源

 この予算では,情報通信審議会が6月27日に出した「地上デジタル放送の利活用の在り方と普及に向けて行政の果たす役割」の第5次中間答申に盛り込まれた,生活保護受給世帯に対する支援に対して128億円を要求している(内訳にある「受信機器購入等の支援」,Tech-On!の関連記事)。生活保護世帯への支援は平成21年度と22年度の2年間で行う計画。21年度に要求した128億円は,約120万世帯が見込まれる生活保護世帯のうち,40万世帯分に相当するという。残りの80万世帯分は22年度に要求する。簡易チューナーの無償給付に加え,アンテナの改修が必要な世帯には,室内アンテナを無償給付するか,既存のアンテナを無償改修する。共同受信施設を利用している場合には,各世帯の負担額に相当する金額を給付する。

 受信障害対策のための共聴施設の改修支援に対しては59億円を要求している。従来は国の補助が一切なかった部分だ。「受信障害の原因となった建築物の所有者等に負担を求めることが困難な場合(受信障害の原因者の特定困難,「渡し切り補償」で受信障害対策が終了など)で,共聴施設の改修などデジタル化に当たっての住民負担が過重となるとき」に,支援を行う。施設の改修に対しては必要な費用の半額,受信調査費や事務費は全額を補助する。

 人工衛星による暫定的な難視聴対策に対しては10億円を要求した。この対策を受ける世帯でパラボラ・アンテナやBSチューナーを持っていない場合は,国の全額負担でこれらを提供する。

 同日の会合では,「施策の実施方法に関する検討ワーキンググループ」(仮称)の設置も了承された。「地上デジタル放送推進に関する検討委員会」の委嘱を受け,当面は,生活保護世帯に対して行う支援の具体的な実施方法を検討する。支援措置の周知や申請手続き,支援の内容(給付または貸与)や方法,個人情報保護のために必要な措置といった点を検討する。9月から11月まで検討を行い,検討結果を委員会に報告する計画だ。