ダイトクは,東北大学 多元物質科学研究所 准教授の加納純也氏らの研究グループと共同で,使用済みの液晶パネルからインジウムを回収する方法を開発したと発表した(発表資料)。今回開発したのは,使用済み液晶パネルから抽出した酸化インジウムを非加熱で還元して,インジウムを直接回収する方法。粉砕操作よるメカノケミカル反応を利用する。

 工程は以下の通り。まず,使用済みの液晶パネルなどから塩酸等の薬品で抽出した酸化インジウム(In2O3)と,廃棄物のSiウエハーなどのシリコン(Si)をボール・ミルで粉砕処理し,インジウムの粉末を得る。副生成物を取り除くため,この粉末に純水を加え,再度ボールミルで粉砕処理し,ろ過・乾燥を行う。その後,高性能の非鉄金属分離装置を用いると,高純度のインジウムの微粉末を捕集できるという。

 ダイトクは既にこの手法を,レアメタルの回収方法として特許出願済み。事業化への見通しが開けたため,実用化設備の導入・稼働を進める予定とする。

 加納氏らの研究グループは2007年7月に,廃棄物のインジウムスズ酸化物(ITO:Indium Tin Oxide)を,非加熱で還元して,インジウムを直接回収する方法を開発していた(Tech-On!の関連記事)。

 インジウムは現在,液晶テレビやPDPテレビの透明導電膜として使用されている。

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