CRT(ブラウン管)やSTN液晶パネルを手がけ,その後TFT液晶パネル事業に参入した台湾ディスプレイ業界の老舗Chunghwa Picture Tubes, Ltd.(CPT)。ノート・パソコン向け,モニター向け,テレビ向けのすべての液晶パネルを生産し,一定の市場シェアを持つ同社の次の一手は何か。さらなる成長に向けた戦略を,同社Vice President, Sales&Marketing General DepartmentのBrian Lee氏に聞いた。(聞き手は,田中 直樹=Tech-On!)

CPT社 副社長 Brian Lee 氏
CPT社 副社長 Brian Lee 氏 (画像のクリックで拡大)
――第3四半期の液晶パネル減産を発表しました。

 7月は10%減産しました。8月は,パネル在庫は減っていますが,不景気は続いていることから15%の減産を実施しています。9月と10月も15%の減産を継続する予定です。第3四半期は本来繁忙期なのですが,市況全体を見ると需要回復には至らないと見ています。ただ,85%の工場稼働率は維持したいと考えています。

――この不況を乗り越え,再び成長していくための切り札となる製品は。

 われわれはこれまで,売り上げの約90%がモニター向けパネルでした。しかし,今後はこのアンバランスな事業構造を改善していきます。2008年第3四半期は,全社売上高に占めるモニター向けパネルの比率を65%に引き下げます。一方,ノート・パソコン(PC)向けの比率を25%,テレビ向けの比率を10%にそれぞれ高めます。

――ノートPC向けで特に力を入れていくパネルは何ですか。

 今後は,ノートPC向けに画面アスペクト比16:9の液晶パネルを生産していきます。まず,2008年11月に15.6型ワイド・パネルの生産を開始します。このパネルは,16:10の15.4型とともに,今後のノートPC向けパネルの中心的な存在となるでしょう。2009年から第6世代ライン(ガラス基板寸法1500mm×1850mm)に0.5mm厚ガラス基板を投入できるようにして,ノートPC向けパネルの生産を開始する計画です。さらに,2009年第2四半期の終わりには14型ワイドと17.3型ワイドの生産を始めます。これらは,市場規模は小さいのですが,特定顧客向けのパネルとして高収益のビジネスが期待できます。

――テレビ向けで特に力を入れていくパネルは。

 第6世代ラインで効率良く生産できる18.5型,21.5型,32型の三つの液晶パネルに注力します。18.5型は24面取りが可能で,ガラス基板利用効率は87%に達します。21.5型パネルは18面取りが可能で,ガラス基板利用効率は90%を超えます。32型パネルは8面取りが可能です。

 第6世代ラインは,ノートPC向け,モニター向け,テレビ向けのすべてのパネルを生産することができます。従って,アプリケーションごとの市況に合わせて,生産比率を調整することが可能です。第6世代ラインの現在の生産能力は9万シート/月ですが,2009年9月にはこれを12万シート/月に拡大する計画です。この結果,われわれの年間生産能力は2008年の約2650万枚から,2009年は7%増の2800万~2900万枚になります。

――コスト競争力を高めるためには,生産規模の拡大が欠かせません。新工場の建設計画について教えてください。

 2008年末を目標に,共同で投資してくれる戦略的パートナを積極的に探しています。新工場を建設するためには,パネルの売り先を確保しておく必要があります。戦略的パートナには,投資だけではなく,パネルの調達先にもなってもらうことを想定しています。新工場では,テレビ向けパネルだけではなく,モニター向けパネルも生産することを前提にします。ガラス基板寸法は,第6世代や第7.5世代を考えています。

このインタビューの詳細は,『NIKKEI FPD 2009 産業動向編』(10月29日発行)に掲載しています。