代表執行役CEOの鈴木洋氏
代表執行役CEOの鈴木洋氏
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 HOYAの2008年4月~6月期決算は低調に終わった(PDF形式の発表資料)。売上高は1301億5600万円,営業利益は218億5700万円で,合併前のペンタックス分を含めた前年同期実績と比較すると6.1%の減収,8.2%の減益だった。ペンタックスの事業が小幅ながら赤字を計上したことや,半導体製造用フォトマスク・ブランクスやフォトマスクの販売減などで収益が悪化した。

 半導体製造用のフォトマスク・ブランクスは前年同期比で14%の減収になった。半導体製造用フォトマスクも8%の減収。半導体メーカーの開発費圧縮の影響を受けたとする。欧米での受注が前四半期に続いて低調な上に,韓国メーカーや台湾メーカーからの受注も伸びなかったという。一方,液晶パネル向けマスクは6%の増収。「液晶パネルは台湾勢が15%を超える減産に入っているが,それでも2009年半ば頃まで供給過剰が続くだろう。ただし,パネルの市場動向とマスクの市場動向はあまり連動しない。パネル・メーカーがコスト削減に向けてツールの入れ替えを進めており,当社のマスク事業は今後1年以上,増収が続く見込み」(代表執行役CEOの鈴木洋氏)。

ディスクリート・トラックHDD,「量産は2~3年後」

 HDD用ガラス・ディスクは前年同期比で5%の増収になった。ただし,平均販売単価は直前四半期比で7~8%程度,下落している。東芝が2009年頃に導入を予定しているディスクリート・トラック媒体に関しては「導入はされるだろうが本格量産は2年か悪くすれば3年先。製品化できるレベルまでコストが下がるには技術がもう一皮,二皮,剥ける必要がある」(鈴木氏)との見方を示した(Tech-On!関連記事)。

 光学レンズは18%もの減収だった。携帯電話機向け需要の読み違えがあったこと,デジタル・カメラ向けで中国メーカーの値下げ攻勢に押されたこと,台湾・韓国の機器メーカーで内製化が進んだことなどが原因で,市場シェアが縮小しているという。今後は,コンパクト機向けに比べて利益率が低いという理由で従来は参入を見合わせていた一眼レフ機向けレンズや,需要増が見込めるBlu-ray Disc装置向け光ピックアップ用レンズなどの拡販で事業の拡大を図る。

デジカメは事業規模を縮小へ

 ペンタックスの手掛けるデジタル・カメラ事業については,今後は事業規模を縮小して収益の確保を目指すとした。4月~6月期は価格競争が激化し,一眼レフ機の伸びも鈍化する市場環境の中で,販売台数減,単価低下とペンタックスの業績も落ち込んだ。製品の投入が他社の動向や市場ニーズに対して遅れているために在庫を抱えやすくなっているといい,7月~9月期も20%程度の減収が続く見込み。今後は,海外移行や外部発注で国内拠点の整理を進めてコスト削減に努めるとともに,生産量を適切な規模に縮小する方針という。

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