米Gartner, Inc.は,携帯電話機の世界出荷台数が2008年に前年比で11%増加し,12億8000万台に達するとの見通しを発表した(発表資料)。

 2008年第1四半期の出荷台数は2億9430万台だった。同社は第2四半期の出荷台数を3億~3億500万台と推計している。2008年後半については,第3四半期の販売台数が直前期を上回るとみるものの,米Motorola Inc.と韓国LG Electronics,Inc.の出荷台数は直前期を割り込むと予測する。第4四半期は,多くの新製品が市場投入される見込みで,季節要因も後押しするとみるものの,各メーカーの通年での出荷台数が前年を上回るかどうかは,第4四半期の出荷台数次第とする。

 2009年度の出荷台数は前年比で10.3%増加し,2年連続して2ケタ成長を遂げると予測する。ただし,一部の地域では,2008年に出荷台数が前年実績を下回るとみる。携帯電話機市場の伸びは,西欧や日本,北米といった成熟市場が飽和状態に達したことで,新興市場に依存する傾向が強くなっている。2008年の出荷台数は,アジア・太平洋地域が対前年比17.9%増の4億7250万台に達する一方,西欧では同1.5%減の1億8800万台,日本では同9.1%減の4770万台になると予測する。

 また,成熟市場では,携帯電話事業者のコスト管理およびメーカーへの端末価格圧力が厳しくなっているという。その要因は,サービス料金の下落圧力にさらされていることに加え,定額通信料の低価格化によるデータ通信サービスの需要増加が,ネットワークへの設備投資を増やしているためとする。このため,携帯端末メーカーへの価格下落の圧力は増しつつあると分析する。

 さらにGartner社は,2009年の携帯電話機市場に影響を与えると思われる動向について触れた。その一つは,確立した携帯電話機メーカーの合併と新規メーカーの参入。Motorola社などの大手メーカーは,市場シェアの縮小に直面しており,端末設計の革新がますます課題となっている。一方,米Apple Inc.や米Garmin Ltd.といった新規メーカーは,従来メーカーとの違いを打ち出している。より低コストのリファレンス・デザインやモジュールは,市場参入を計画する従来の家電メーカーにとって非常に魅力的なものになっている,とGartner社は説明した。