米ABI Research社は,いわゆる高級ブランドから発売される携帯電話機の売上高が2009年には110億米ドルを上回るとの見通しを発表した(発表資料)。2013年には430億米ドル以上に達する見込みという。

 高級ブランドの仏Christian Dior Groupは最近,自社でデザインした携帯電話機を発表した。他の高級ブランドも自社製品のラインナップに携帯電話機を加えつつあるという。高級ブランドは携帯電話機メーカーと提携して,携帯電話機の新しいニッチ市場を開拓している,とABI Research社は説明する。

 同社によれば,高級ブランドの製品制作者にとって,携帯電話機は「宝飾品や腕時計,その他のアクセサリーといった基本的な製品群に当然追加されるべき製品」という。一方,携帯電話機メーカーにとって高級ブランドと提携する機種は,新機種という意味にとどまらず,ブランド価値を高める戦略的なアプローチとする。

 携帯電話機メーカーはこれまで価格競争にさらされ,利益率の低さに苦しんできた。しかし,この状況を脱する手段として,コスト削減を単独で行う場合の効果は疑わしく,各メーカーは高級感やブランド力といった無形の価値を高める別の方法を探しているという。

 携帯電話機は多くの技術的特性で成り立つため,その市場価値が基本的に部品や製造コスト,技術的性能で決定されることは変わりそうにないとABI Research社は分析する。ただし,消費者はブランド・イメージや高級感に敏感であるため,これらの要素が携帯電話機メーカーにとって顧客離れを防ぐ力となり,長期的な成長戦略の一部をだんだんと担うようになると説明した。