米International Data Corp.(IDC)は,2008年第2四半期における携帯電話機の世界市場調査の結果を発表した(発表資料)。総出荷台数は,対前年同期比15.3%増の3億600万台で,2ケタ成長を達成した。多機能モデルの市場競争が加熱して,出荷台数を押し上げたという。

 IDCは多機能モデルの需要が,年末商戦に向けてさらに拡大するのは間違いないとみている。その一つの理由がスマートフォンの伸び。スマートフォンは,前年比約40%増で増加しているが,それ以外の携帯電話機は同10%程度の増加にとどまっている。また,これまでGPSやタッチ・スクリーンといった多機能モデルに搭載されていた機能が,急速に下位機種に取り入れられるようになっていると説明する。

 メーカー別の出荷台数を見ると,上位5社の順位に直前期から変動はなかった。首位はフィンランドNokia Corp.で,出荷台数は対前年同期比21.0%増の1億2200万台。シェアは対直前期比0.3ポイント増の39.9%。前年同期からは1.9ポイント拡大している。同社は,新興市場の需要への対応に力を入れており,これが出荷台数を押し上げた。同社の出荷台数の1/3近くを,新興市場向けの「Nokia 1200」と「Nokia 1208」が占めた。

メーカー別の出荷台数シェア
メーカー別の出荷台数シェア (画像のクリックで拡大)

 2位は韓国Samsung Electronics Co., Ltd.で,対前年同期比22.2%増の4570万台を出荷した。シェアは対直前期比1.0ポイント減の14.9%。ただし,前年同期からは0.8ポイント増加した。同社の出荷台数の伸びは,同社の最近の伸びに比べて鈍化している。中位機種と上位機種における競争の激化や景気減速,第2四半期の需要の減少などが影響した。

 3位は米Motorola, Inc.。出荷台数は対前年同期比20.8%減の2810万台と大幅に減少したものの,直前期からはわずかに増加して3位を維持した。シェアは対直前期比0.2ポイント減の9.2%。直前期からは4.2ポイント減少している。同社の製品ポートフォリオには,新たに「ROKR E8」や「MING」などの多機能モデルが加わった。

 4位は韓国LG Electronics,Incで,出荷台数は対前年同期比45.0%増の2770万台と大幅に伸びた。新興市場向けの低コスト機種が伸び,「Secret」や「Venus」,「Viewty」を含む上位機種が市場に受け入れられたことが出荷台数を押し上げた。シェアは対直前期比0.7ポイント増の9.1%。前年同期からは,1.9ポイント増加した。

 5位は日スウェーデン合弁Sony Ericsson Mobile Communications ABで,対前年同期比2.0%減の2440万台を出荷した。欧州での需要の鈍化や,競争の激化が影響した。営業利益や出荷台数が減少したため,同社は人員削減も含む事業活動と経営資源のリストラを実行すると発表した。