日産自動車は2008年8月4日,異業種への技術供与を核とした知的資産ビジネスを拡大すると発表した。自動車メーカーとして開発した技術を開放することで,異業種との交流による新しい価値の創造,および自社研究開発活動の活性化を目指す。今回供与する技術としては,アラウンド・ビュー・モニタと遠赤外線イメージセンサ,ブドウ・ポリフェノール・フィルタの三つを候補として挙げている。

 アラウンドビューモニタは,車両を上方から見下ろしたような映像を表示できる技術(Tech-On!関連記事1関連記事2)。この技術活用で,建設用の大型重機や農業機械などの作業性向上や安全性向上の可能性を検討している。

 数千~数万画素クラスの遠赤外線イメージセンサは,人体などの熱画像が精細に得られる技術。日産はその廉価版の開発に成功しており,自動車での採用に先行して熱源監視装置などの非自動車分野での市場投入を計画している。

 ブドウ・ポリフェノール・フィルタは,天然ブドウ種子ポリフェノールの抗アレル物質効果によって花粉症の原因となるアレルギー物質の除去効果を大幅に高めた高性能フィルタ。キッコーマンおよび東洋紡績と共同開発し,既に「キューブ」,「ティーダ」,「ティアナ」に搭載されている。同フィルタの効果をマンション用換気ユニットなどに活用するための検討を進めている。

 日産自動車は既に建設機械業界や農業機械業界,ビルメンテナンス業界など数社から打診を受け,採用に向けた話し合いを行っている。今後,数カ月以内に契約が締結される予定だ。同社はこの取り組みを今後さらに拡大させ,保有する知的資産の積極的な活用を推進していく。

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