記者会見の様子
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2008年4月〜6月期の販売台数の内訳(右)と前年同期の内訳(左)
2008年4月〜6月期の販売台数の内訳(右)と前年同期の内訳(左)
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 日産自動車の2008年4月~6月期決算は大幅な減益となった(発表資料)。売上高は前年同期比4.1%減の2兆3472億5100万円,営業利益は同46.1%減の799億4600万円,純利益は同42.8%減の527億9800万円である。原材料費の高騰には販売価格の値上げで対応したが,円高による為替差損や,リース車両の残存価値の見直しに伴う引当金などで利益を減らした。為替差損は営業損益に対して547億円,残存価値下落リスクの引当金は420億円のマイナス要因になった。

 リース車両の残存価値は,米国の中古車価格が下落しているのを受けて見直した。米国中古車市場全体で平均価格が前年同期比5.8%減となっており,特に大型SUVやピックアップ・トラックなどの中古価格は2~3割落ちているという。

 米国自動車市場の冷え込みは深刻で,市場全体でこの4月~6月期は販売台数が前年同期に比べて12%落ち込んでいる。日産自動車の米国での販売台数は前年同期比1.5%減の25万3000台。トラックは2割減となるなど,大型車の売り上げが落ち込み,前年並みを見込んでいた期初の販売計画を下回った。ただし,減少幅が市場平均より小さかったため,市場シェアは0.7ポイント拡大して6.6%となった。カナダやメキシコでの販売は好調で,北米地域としては前年同期比1.9%増の33万台となっている。

 日産自動車は米国の2008年通期の市場規模を1430万台とみており,2009年もほぼ同等で推移すると予測。市場の急な回復はないとみて,人員削減や生産調整などの施策を採る。スマーナ工場とデガード工場の2拠点では2008年9月12日を期日として早期退職者を募集。1200人程度の削減を見込んでいる。加えて,スマーナ工場とキャントン工場で2008年7月~8月ごろからトラックの生産量を減らし,乗用車の生産量を増やしていく。

新興市場の好調で米国不振をカバー

 米国以外では,日本が前年同期比2.2%減の14万8000台,欧州は同0.2%増の15万6000台で,期初計画をやや下回ったという。一方で,中東やアジアなど同社が「一般海外市場」と呼ぶ地域では前年同期比23.6%増の30万2000台と好調。期初計画の11%を大きく上回る成長率を示した。世界販売台数は前年同期比6.9%増の93万6000台で,通期見込みの3.5%増を上回るペースで推移している。

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