シャープの2008年4月~6月期決算は,売上高,営業利益ともに前年実績を下回った(PDF形式の発表資料)。売上高は前年同期比6.0%減の7478億7500万円,営業利益は同13.8%減の364億2600万円である。四半期ごとの業績開示を始めて以来,初めての減収となった。

 ブレーキになったのは携帯電話機事業。販売台数が前年同期比39%減の299万台と大きく落ち込み,売上高も38%減となった。販売奨励金の縮小傾向に伴ってユーザーの購入価格が上昇し,国内市場全体が減速する中で,業界首位メーカーとして影響を強く受けたとシャープは説明する。今後は,中国市場へ高機能端末を投入するなどして,2008年4月に発表した年間販売計画1480万台の達成を目指す。

 一方,液晶テレビと太陽電池は期初の計画を上回る実績を残した。液晶テレビの販売台数は前年同期比32%増の205万台。日本で24%増,米国で30%増,欧州で6%増,中国では約3倍と全世界的に伸びている。ただし,平均販売単価は前年同期の10万8900円に対して8万9700円と,2割近く落ち込んだ。シャープは液晶テレビの年間販売計画を2008年4月時点では1000万台としていたが,1100万台以上へ予測を上方修正した。

亀山第2は7月から9万枚/月に

 液晶パネル事業も売り上げ,利益ともに2ケタの伸びを示した。売上高が前年同期比24%増の3161億円,営業利益は同17%増の203億円である。亀山工場はフル操業が続いており,2008年7月に入って亀山第2工場のガラス基板投入量を従来の6万枚/月から9万枚/月へ増強した(Tech-On!関連記事1)。足元の需給バランスはやや緩んでいるが,年末に向けて需要は立ち上がってくるとシャープはみている。

 太陽電池事業は海外向けが好調で増収増益となった。売上高は前年同期比38%増の420億円,営業損益は前年同期の赤字から回復して5億円の黒字になった。シリコンの供給不足による価格高騰で計上していた赤字を,シリコンの内製化を進めたことにより解消したとする(Tech-On!関連記事2)。

 シャープは2008年通期の業績予想を前回発表のまま据え置いた。売上高3兆6000億円(前年度比5.3%増),営業利益1950億円(同6.2%増)を見込む。携帯電話機の国内市場は今後も厳しいとみるが,液晶テレビやBlu-ray Disc機器,太陽電池でカバーする考えである。