図1:2008年度第1四半期の業績概要
図1:2008年度第1四半期の業績概要
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図2:半導体の売上高を製品群別に見たもの
図2:半導体の売上高を製品群別に見たもの
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図3:営業損益の変動要因
図3:営業損益の変動要因
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図4:2008年度通期の業績予測
図4:2008年度通期の業績予測
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 NECエレクトロニクスは2008年7月30日,2008年度第1四半期(2008年4月1日~6月30日)の決算を発表した。売上高は,円高や通信機器向け半導体の不調により,前年同期比4.2%減の1663億円となった(図1)。ただし営業損益は,研究開発費の削減などにより前年同期に22億円の赤字だったものが39億円の黒字となり,4四半期連続の黒字となった。

 同社の売上高のうち,半導体の売り上げは前年同期の1650億円から4%減少し1592億円となっている。円高による押し下げ効果は約70億円だという。

 半導体の売上高を製品分野別に見ると,通信機器分野が前年同期比で20.8%減の164億円と落ち込んでいる。同分野にはルータやブロードバンド・ネットワーク機器向けの半導体が含まれるが,今回は携帯電話機向けのベースバンドLSIやメモリ,液晶ディスプレイ向けのドライバICの売り上げが特に減少した。

 逆に売り上げが増えたのは,自動車やFA機器に向けた半導体を含む自動車・産業用機器の分野である。カーオーディオや電装メーカー向けのマイコンが増収となったことなどにより,前年同期比8.7%増の298億円となった。

 半導体の種類別では,ダイオードやトランジスタといった個別半導体が前年同期比で10%減の513億円となった(図2)。SoCとマイコンは,それぞれ前年同期比で1%減の633億円と1%増の446億円となった。SoCはBlu-rayドライブ向けのLSIが増収となったが携帯電話用のメモリが減収,マイコンは自動車向けが増えたが一部の汎用品が足を引っ張ったとする。

 売り上げ減少にもかかわらず営業損益が前年同期比で黒字化したのは,研究開発費や販売費,一般管理費などの削減効果が大きい(図3)。NECエレクトロニクスは,昨年からSoC開発費の回収に関してユーザー側と交渉したり(Tech-On!関連記事1)外部開拓委託を中止したり(Tech-On!関連記事2)など,固定費の削減に取り組んでいる。

 2008年度通期の業績予測に関しては,資源価格の高騰や個別半導体などの汎用製品が下ぶれする可能性を考慮し,売上高(6850億円),営業損益(100億円)ともに2008年5月に発表したものを据え置いた(図4,Tech-On!関連記事1)。