図1 研究会設立の趣旨を説明するウィルコム 代表取締役社長の喜久川政樹氏
図1 研究会設立の趣旨を説明するウィルコム 代表取締役社長の喜久川政樹氏
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 ウィルコムは2008年7月28日,全国にカメラ・ネットワーク網を構築するに当たって生じる問題を検討するための研究会「BWA ユビキタスネットワーク研究会」を発足し,その概要を説明した。同社は2009年から次世代PHSのサービスを開始する予定で,そのための基地局の整備に併せてカメラを設置することを計画している。狙いは,データ量の大きな動画を同社の次世代PHS通信網に流通させることである。「ウィルコムの強みは,全国に16万局と多い基地局の数。次世代PHS基地局に更新するのに当たってカメラを同時に設置すれば,カメラの設置コストを安価にできる」(ウィルコム 代表取締役社長の喜久川政樹氏)という。

 ただし,全国にカメラを配置し,リアルタイムでカメラによる映像を同社の通信網でやり取りすると,プライバシーや肖像権,セキュリティの確保の手段などのさまざまな問題が発生するという。研究会設立の目的は,こうした問題に対して「ユーザーが安心できるルール作りを考える」(ウィルコムの喜久川氏)ことにある。

 同社は,カメラを全国に配置することで渋滞や天候,災害地の映像をリアルタイムで配信することや,地域コミュニティにおける子供向け防犯サービスに活用するといったことを考えている。

 今後の計画として,次世代PHSの基地局設置を本格的に開始する2009年秋ころまでに,研究会における議論の方向性がある程度見えるように進める計画である。「2011年までには,カメラ・ネットワークを活用したサービスを開始したい」(ウィルコムの喜久川氏)という。

 現在,研究会への参加企業数は25社である。今後,50社程度まで増える予定という。研究会発足の発表会における列席者は次の通り(列席順)。
・ウィルコム 代表取締役社長の喜久川政樹氏
・京都大学 学術情報メディアセンター センター長の美濃導彦氏
・牧野総合法律事務所 代表の牧野二郎氏
・ウィルコム 執行役員 サービス開発本部長の黒澤泉氏
・京セラ 通信機器関連事業本部 副統括事業部長の芳賀義文氏
・シャープ 情報通信事業本部長 兼 ビジネスソリューション事業部長の名井哲夫氏
・NTTコミュニケーションズ 先端IPアーキテクチャセンタ センタ長の原隆一氏
・日本無線 通信機器事業本部 副本部長の海馬澤秀樹氏

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図2 研究会の位置付け
図2 研究会の位置付け
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図3 カメラ・ネットワークの概要図
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図4 想定される課題
図4 想定される課題
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