ホンダは,2008年4~6月期(2008年度第1四半期)の連結決算を発表した。売上高は2兆8672億円(前年度同期比2.2%減)で減収,営業利益は2213億円(同0.2%減)でほぼ横ばいだった。利益面では,4輪事業の売上台数増加に伴う利益増加や,コストダウン効果はあったものの,為替換算上の影響や原材料価格の高騰により打ち消される格好になっている。

 2008年度第1四半期の税引前利益は2350億円(前年度同期比7.7%増),当期純利益は1796億円(同8.1%増)となり,ホンダの第1四半期として過去最高値を更新している。

2輪事業は増収

 2輪事業セグメントでは,売上高は3930億円(前年度同期比6.7%増),営業利益は311億円(前年度同期からほとんど変動なし),売上台数は271万5000台(同20.5%増)となり,増収を達成した。売上台数に関しては,特にアジア市場において,インドネシアやインド向け生産用部品の増加が大きく貢献した。景気後退や原油価格高騰により米国でも2輪車が注目されているが,ホンダの製品で売り上げが伸びているのは,主に排気量が750cc以下の「クルーザーモデル」である。ただし,「ユーティリティATV」と呼ぶタイプに関しては売り上げが減少しており,米国市場における売上台数は横ばい。

小型車が売れる傾向は顕著に

 4輪事業セグメントでは,売上高は2兆2280億円(前年度同期比4.3%減),営業利益は1612億円(同6.4%増),売上台数は96万2000台(同1.7%増)となり,減収・増益だった。売上台数に関しては,国内,北米,欧州が減小,アジア,その他が増加となっている。国内や北米は,大型車の代わりに小型車が売れる傾向が顕著になっており,特に北米に関しては,ライトトラック(ただし「CR-V」を除く)の生産台数を落とし,乗用車(主に「Civic」)の生産に振り替え始めている。ただし,設備の都合上,こうした振り替え生産には限界があり,乗用車の生産は目いっぱいの状況だという。

 4輪事業セグメントの営業利益増減要因は,増益要因が「北米市場の販売奨励金の減小」「当年度モデルの価格の改定(値上げ)」など,減益要因が「販売管理費の増加」「原材料価格の高騰」「円高(対米ドル)による為替影響」である。ディーラー販売価格の改定(値上げ)に関して,ホンダ代表取締役副社長の近藤広一氏は「当分は(価格を)上げることは考えていない。ただし,新型車に関しては鋼材価格の高騰を加味した価格設定になる可能性はある。とはいえ,現在販売している車種に関しては,何も変わっていないのに価格だけ上げるというのは難しい」と語った。

原材料価格高騰で通期見通しを下方修正

 2008年度通期(2008年4月~2009年3月期)に関しては,原材料価格の高騰による影響が期初見通し(2008年4月25日公表)以上に拡大しているため,売上高・営業利益・税引前利益を下方修正する。新しい見通しは,売上高が12兆1300億円(期初見通しは12兆1400億円,2007年度通期実績は12兆28億円),営業利益は6300億円(同6500億円,9531億円),税引前利益は6600億円(同6750億円,8958億円)である。原材料価格の高騰による影響は,期初見通しでは740億円の減益要因だったが,新しい見通しではこの額が1250億円に拡大した。