ルネサス,米Cadenceの動作合成の適用結果を発表
ルネサス テクノロジは,米Cadence Design Systems,Inc.の動作合成ツール「C-to-Silicon Compiler(以下C-to-S)」の適用結果を発表した。このツールの開発に当たって,Cadenceはルネサスや日立製作所の声を反映させたとしている(Tech-On!関連記事)。
今回のルネサスの発表は,日本ケイデンス・デザイン・システムズが都内で7月17日/18日に催した「DA SHOW/CDNLive! Japan 2008」で行なわれた。登壇したのは,ルネサスの藤井基継氏(製品技術本部設計技術統括部システム設計技術開発部 主任技師)である。
藤井氏が説明した適用事例は2件あった。どちらも画像処理のIPコアで,主にデータ処理部を対象に動作合成ツールを適用した。欲しい回路はどちらも,スループット1のパイプライン回路である。なお一つ目のIPコア(以下IP-1)では,人手による製品設計と並行して動作合成を行い,動作合成ツールの評価している。二つ目のIPコア(以下,IP-2)はIP-1より規模が大きく,SystemCの階層設計を行った。また,IP-2ではFPGA向けとASIC向けの二つのRTLを合成した。
記述量が1/3に
IP-1では,動作合成対象のデータ処理部のアルゴリズム記述はC言語で200行程度だった。それをSystemCに人手変換したところ300行程度に膨らんだ。これは入出力プロトコルやリセット動作,ヘッダを加えたからである。さらに,面積や動作速度の改善のために記述を変更して(+50行),最終的には350行程度になった。
それでも同時に進めた人手設計のRTL記述に比べて約1/3の入力行数に抑えられた。またシミュレーションをRTLからSystemCにしたことで,シミュレーションに要する時間を約1/6に短縮できた。動作合成で得たRTLと人手設計したRTLで,チップ面積と動作速度はほぼ同じになったという。
なお,C-to-Sが内蔵するRTL Compilerのエンジンを使うことで,レイテンシやチップ面積がさらに改善した。IP-1の適用結果から,「制御が複雑でないデータパス部には,動作合成が適用可能」という結論を得た。
ASIC向けとFPGA向けを合成
もう一つの適用事例のIP-2は,IP-1の10倍程度のチップ面積が見込まれるため,階層的に動作合成を適用した。入力のSystemCを分割し,それぞれにC-to-Sを適用したほか,最上位階層のRTLもC-to-Sで得た。IP-2のC言語記述は約650行,それをSystemCにすると約900行になった。さらに階層接続やポート定義のために2700行を作成する必要があった。なお,増えた2700行の部分に関しては,「自動化や工数削減の余地がある」(藤井氏)とした。
IP-2では,一つのSystemCからレイテンシを変更して,同じ周波数で動作するASIC向けとFPGA向けのRTLを生成している。アルゴリズムからRTLを得る工数は人手の場合に比べて55%(45%の削減)だったという。
講演の最後に藤井氏は,今後の課題などを述べた。今後はSystemCベースの設計手法の普及拡大,C-to-Sのインクリメンタル合成機能を使ったECOフローの立ち上げ,低電力設計への対応を挙げた。またCadenceに対しては,C-to-SのECOや低電力設計への対応を求めた。












