キヤノンの2008年4月~6月期決算は減収減益だった(PDF形式の発表資料)。売上高が前年同期比1.9%減の1兆1058億9400万円,営業利益は同11.7%減の1601億5600万円,純利益は同13.0%減の1078億4100万円である。キヤノンは過去数年にわたって増収増益が続いていたが,2008年1月~3月期に減収減益に転じた。4月~6月期も円高や原材料費高騰の影響で,前年実績を下回った。

 プリンターなどを扱う事務機事業は,売上高が前年同期比4.6%減の6972億800万円,営業利益は同12.0%減の1398億5900万円だった。インクジェット・プリンター複合機の販売が家庭向け,企業向けともに好調だったものの,米国を中心に企業のオフィス機器への設備投資抑制などの影響を受けた。

 カメラ事業は,売上高が前年同期比4.5%増の3104億1600万円,営業利益が同12.9%減の668億5900万円と,増収ながら減益となった。デジタル・カメラは,一眼レフ機の販売台数が前年同期比25%増の100万台,コンパクト機が同11%増の600万台と数量ベースでは好調だった。ただし,円高や単価下落の影響で利益率が下がっている。

 半導体製造装置などを扱う光学機器およびその他事業の売上高は前年同期比5.9%増の1639億7200万円,営業利益は同94.5%減の1億8700万円だった。液晶パネル製造向けは需要が回復したものの,半導体製造向けは需要低迷が続いているという。液浸ArF露光装置の出荷実績は2008年上期ではゼロ,下期に1台を予定している。

 キヤノンは今回,通期(2008年1月~12月)売上高の予測を上方修正した。2008年4月時点の予測に200億円を上乗せして4兆5900億円(前年比2.4%増)とする。上方修正の要因は,デジタル・カメラの販売好調,液晶パネル製造向け露光装置の需要回復,インクジェット・プリンター用カートリッジの販売増など。ただし,同社は2008年4月に業績見通しを下方修正しており,今回の売上高予測も2008年1月時点の予測に対しては低い水準にとどまっている。利益予測は2008年4月時点の予測を据え置いた。営業利益は7700億円(前年比1.8%増),純利益は5000億円(同2.4%増)とする。