ソフトバンクモバイルの松本氏
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松本氏の講演資料から
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 ソフトバンクモバイル 取締役副社長の松本徹三氏は2008年7月23日,東京ビッグサイトで開催中の「ワイヤレスジャパン 2008」で講演し,同社の携帯電話事業への取り組みについて述べた。松本氏によれば,同社は2010年前半には次世代移動体通信システム「3.9G」対応の基地局を全国展開する方針であり,このために1.5GHz帯の周波数免許を申請予定という。

LTEのコストを疑問視

 松本氏は講演で,「あくまで内々で,まだ会社が決定しているわけではない」と前置きしながら,3.9Gの伝送方式に対する私見を述べた。3.9Gにおいては,LTEよりもHSPA拡張版を本命視しているという(松本氏はHSPA+とした。HSPA evolutionやeHSPAとも呼ばれる)。「われわれは3.9Gの概念には,3GPPのリリース7(HSPA+)が含まれると考えている。すぐにLTEに行かないのは,何よりコストの問題だ。LTEは,まだチップも高い。加えて,LTEは後方互換性の問題もある」(松本氏)。

 2010年前半に全国展開していくのは,HSPA拡張版に対応する基地局になるもようだ。「LTEが本格的にユーザーに評価してもらえるようになるのは,2012~2013年だろう。2010年の段階では,LTEはコストが高すぎる。100%とまでは言わないが,われわれはHSPA+だ。HSPA+は周波数利用効率がLTEと同等で,また後方互換性も確保できる。これを本命にして,将来はLTEにアップグレードできるようにしておけばよいのではないか」(松本氏)。

 HSPA拡張版(HSPA+,HSPA evolution)は,3GPPのリリース7で規定されたもの。MIMO技術を組み合わせることで,28Mビット/秒といった高速データ通信が可能な仕様である。OFDMA技術を用いるLTEと異なり,現行W-CDMA同様にCDMA技術を使う。

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