ZigNET‐TAGMO
ZigNET‐TAGMO
[画像のクリックで拡大表示]

 日立プラントテクノロジーは,無線LANを利用したセンサー・ネットワーク用デバイスを開発,2008年7月22日から開催中の「ワイヤレスジャパン 2008」に出展した。各種のセンサーと無線LANの送受信機能を一体化したもので,食品などのトレーサビリティや,ビルや工場のエネルギー管理用途に向ける。

 名称は「ZigNET‐TAGMO」。無線LANの送受信ICとセンサーを内蔵した小型タグとして実現した。センサーで計測したデータを,無線LANおよびインターネット網を介してサーバーに送信できる。既存の無線LANのホットスポットなどを使えるため,専用の無線網を構築せずに済む。このため,ZigBeeなどを使った無線センサー・ネットワークに比較して,早期に普及すると見込んでいる。

消費電力の低減で移動体監視を可能に

 対象となる物品にZigNET‐TAGMOを設置すれば,物品の輸送時などにおいて温度や湿度といった環境情報を計測し,無線LANを使って送信できる。周囲に無線LANのアクセスポイントが存在しない場合には,取得した情報を内蔵するメモリーに格納する。無線LANのアクセスポイントのエリアに再び入った時,それまで蓄積していたデータを一度に送出する。内蔵するセンサーの計測値が設定値を超えるような場合には,アラーム信号を伝えることもできる。たとえば,食品運搬時に庫内温度が異常に上昇した際などに,温度センサーで異常を感知し,無線LANを使ってアラーム信号を送信する。

 低消費電力の送受信ICを用いることで,小型の電池を使いながら最大5年間の駆動時間を確保できるという(1分間に1回だけ計測データを送信する場合。なおこの駆動時間は,電池に単3型のLi1次電池を使った場合としている)。送受信ICには,米ベンチャー企業であるGainSpan社の製品を利用する(Tech-On!の関連記事)。同社のICは待機時の消費電流が2μAと低い。このためZigNET‐TAGMOでは,送受信の伝送媒体に無線LANを使いながらも,長時間利用できるとしている。

 日立プラントテクノロジーはこれまでに,約10kmの長距離伝送が可能なセンサー・ネットワークのシステム「ZigNET」を開発済みで(Tech-On!の関連記事),プラント設備管理や,広域河川監視などに適用してきた。今回のZigNET‐TAGMOでは,消費電力の低い送受信ICを採用したことで,移動体での利用が可能になった。食品輸送時のトレーサビリティのほか,精密機械の輸送管理,児童や老人の見守り,家畜や野生動物の管理などに適用できるとしている。

この記事を英語で読む