「iPhone 3G」のメイン基板の分析を終えた,技術者たちと日経エレクトロニクス分解班( Tech-On!の関連記事1 )。筐体下部の分解をひと通り終えた技術者たちは,最後に筐体上部(表示部)に目を向けた。表示部は主に,筐体とタッチ・パネル,液晶パネルで構成する(図1)。

図1 筐体上部(表示部)。筐体とタッチ・パネル,液晶パネルなどで構成する。全体の厚さは約4.2mm
図1 筐体上部(表示部)。筐体とタッチ・パネル,液晶パネルなどで構成する。全体の厚さは約4.2mm (画像のクリックで拡大)

 「筐体下部と違ってネジが少ないですね。これなら簡単に分解できそうだ」と技術者がつぶやく。表示部に使用されているネジは6本と少ない。ネジを外し終えると,筐体から液晶パネルを取り外すことに成功した(図2)。

 「iPhone 3Gは液晶パネルとタッチ・パネルは一体化してない」と意外そうな表情で技術者は語る。2G版のiPhoneでは,液晶パネルとタッチ・パネルは接着フィルムを使って張り合わせていた( Tech-On!の関連記事2 )。この方式を採用すれば,液晶パネルとタッチ・パネルの間に空気の層が入る方式に比べて,外光反射を抑えることができるため視認性を向上できる。その一方で,製造コストが高くなるほか歩留まり低下の原因になりやすい。分解に協力した技術者は,「表示性能よりコストを優先させたのだろう」と推測する。

図2 液晶パネル(左)と筐体(右)。筐体は静電容量方式のタッチ・パネルを搭載する
図2 液晶パネル(左)と筐体(右)。筐体は静電容量方式のタッチ・パネルを搭載する (画像のクリックで拡大)

 補強用とみられる金属板を含めた液晶パネルの厚さは約2.2mm(図3)。「最近の国内向け携帯電話機の液晶パネルの厚みと比べて,特に薄いということはない」(分解に協力した技術者)。

図3 液晶パネルの厚さは約2.2mm
図3 液晶パネルの厚さは約2.2mm (画像のクリックで拡大)

 分解作業はほぼ終了し,部品の配置や構成の確認は終了した。iPhone 3Gはもはや,復元不可能である(図4)。

図4 分解後の「iPhone 3G」を並べてみた
図4 分解後の「iPhone 3G」を並べてみた (画像のクリックで拡大)