キーボードと同じくユーザーが手に触れる機会が多いタッチ・センサについても,Al合金板に30カ所以上のかしめを施し,剛性を高めている。液晶パネルの上部や各種端子を覆うフタの部分には複数の磁石を配置することで,筐体やフタが「パチッ」と小気味良く閉まるようにした。

 視覚に訴える工夫にも抜かりがない。キーボード・モジュールの下には導光板を敷いてあり,キーボードの側面から五つのLEDを点灯させることで,キーボードの下を明るくすることができる。

 こうしたApple社のこだわりは,MacBook Airの製造コストや部材コストを大幅に押し上げたはずである。中には,明らかに過剰ともみられる個所もある。「同じ質感,剛性を実現しつつ,製造コストを削減したり軽量化したりする方法はいくらでも思い付く」(技術者)。

手堅いメイン基板の設計

 機構部品を中心にApple社ならではの設計が目立った一方,メイン基板の設計は比較的堅実といえる(図3)。EMI対策として,Al合金筐体のすき間を導電性パッキンで封じたほか,外部/内部インタフェースのほとんどに,コモンモード・チョークコイルなどのフィルタを配置している。「穴という穴はすべてふさいでいるという印象だ」(EMI対策に詳しい技術者)。

図3 小さいメイン基板 メイン基板の面積は全体の1/5ほど。放熱板の下にはマイクロプロセサおよびチップセットがあり,ファンで放熱板および電源用インダクタを冷却している。部品のメーカー名や用途は本誌の推定。
図3 小さいメイン基板 メイン基板の面積は全体の1/5ほど。放熱板の下にはマイクロプロセサおよびチップセットがあり,ファンで放熱板および電源用インダクタを冷却している。部品のメーカー名や用途は本誌の推定。 (画像のクリックで拡大)

 マイクロプロセサおよびチップセットが発する熱は,放熱板で拡散した後,薄型ファンで放熱板に風を当てて冷やしている。