「ダビング10」の運用が,7月4日に始まりました。地上デジタル・テレビ(地デジ)放送の番組を録画する際などに使う,新しい著作権保護ルールです。従来の「コピーワンス」ではコンテンツを一回しか複製できなかったのに対し,一回の録画につき9回の複製と1回の移動(ムーブ)が可能です。
もともとダビング10は,6月2日に実施する予定で準備が進んでいました。ところが実際は,当初の目標からおよそ一カ月遅れて始まった格好です。これだけ遅れた理由は,一見ダビング10とは関係なさそうな問題にあります。いわゆる「iPod課金」をめぐる議論が,ダビング10を実施する上で足かせになったのです。
iPod課金とは何ですか?
「iPod課金」とは,内蔵したHDDやフラッシュ・メモリにデータを保存する,iPodなどの携帯型音楽プレーヤーを,私的録音録画補償金制度の対象にすることを指します。私的録音録画補償金制度とは,いちいち権利者の許可を得なくてもコンテンツをデジタル録音・録画できる代わりに,機器や媒体の価格に上乗せされた補償金を支払う制度です。その対象機器に,iPodなどを含めましょうというのが,「iPod課金」です(図1)。