無線LANの普及推進団体であるWi-Fi Allianceは,VoIP(voice over IP)を利用した音声通話を無線LAN経由で行う機器を認定するプログラム「Wi-Fi CERTIFIED Voice-Personal」を開始した(英文の発表資料)。2008年7月3日に都内で開催した記者説明会でWi-Fi Allianceは,今回の認定プログラムについて「データ通信のアプリケーションは信号の劣化に耐えられるが,音声通話は信号が劣化すると相手の声が聞き取れないことになってしまう。音声データのトラフィックを優先できる機器を認定する必要がある」(Marketing DirectorのKelly Davis-Felner氏)と説明した(図1)。
Wi-Fi CERTIFIED Voice-Personalプログラムは,複数のクライアント機に対応する1個のアクセス・ポイントを設置し,そのアクセス・ポイントに接続する4個のクライアント機との4件の音声通話,1個のクライアント機とのデータ伝送および動画伝送を同時に行う状況でテストする(図2)。このとき,音声通話のパケット損失が1%未満で,レイテンシおよび最大ジッタが50ms未満という基準を満たしたアクセス・ポイントやクライアント機(携帯電話機やノート・パソコンなど)を認定製品とする。認定製品は,(1)IEEE802.11a/b/gと同802.11n draft 2.0のいずれか,(2)セキュリティ機能に関する「WPA2-Personal」,(3)トラフィックの優先度を定義する「WMM」,(4)省電力機能に関する「WMM Power Save」,という4個の認定テストに合格している必要がある。
今回Wi-Fi AllianceはWi-Fi CERTIFIED Voice-Personalプログラムの第一弾として,米Broadcom Corp.や米Cisco Systems, Inc.社,米Intel Corp.など6社の計8製品を認定した。また,Voice over Wi-Fiの企業向け製品の認定プログラム「Wi-Fi CERTIFIED Voice-Enterprise」の計画も示した(図3)。2009年中ごろに開始予定の同プログラムは,Personal版のテストに加えて,複数のアクセス・ポイントが共存する状況でのテストなどが加わるという。