情報通信審議会の第30回情報通信政策部会が2008年6月23日に開催され,「地上デジタル放送の利活用の在り方と普及に向けて行政の果たす役割」の第5次中間答申案が了承された。答申案には,生活保護世帯に簡易型地デジ・チューナーやアンテナを現物支給すること,共聴施設の受信障害対策への支援措置を検討することなどが盛り込まれた。

 第4次中間答申で提言した「5000円以下の簡易なチューナー」の開発・流通は,2009年夏までに実現できるように取り組むとした。経済的な困窮度が高い世帯への支援は,所得や保有資産に厳格な基準を設けている約107万世帯の「生活保護世帯」に限定。簡易なチューナーを給付し,必要があれば室内アンテナの給付や屋外アンテナの改修を行うという。2009年をメドに実施する。

 また,地デジ移行後も残る受信障害では,共聴施設の改修を誰が行うのかという問題がある。この問題に対しては,「受信障害の原因となった建築物の所有者等に負担を求めることが困難な場合(受信障害の原因者の特定困難,「渡し切り補償」で受信障害対策が終了など)で,共聴施設の改修などデジタル化に当たっての住民負担が過重となるとき」に,支援措置を講じることを検討すべきだとした。

 人工衛星を利用した暫定的な難視聴地域対策も盛り込んだ。どうしてもアナログ放送終了までに地上波でデジタル放送を受信できない地域に対し,東京の放送(NHK,キー局5局)を衛星放送(BS)で再送信する。2009年度内に運用を開始し,5年間の期限付きで行う。各地域で視聴できる民放の番組は,その地域の地上デジタル放送局の番組に準じる。画質はSDで,データ放送は行わない。BSデジタル放送を視聴するために機器の費用負担が発生する世帯に対する支援も実施し,「利用料は求めないようにすべき」とした。