BCNは2008年6月18日,大手家電販売店のPOSデータを集計したBCNランキングから見た薄型テレビとDVD・HDDレコーダーの市場動向を発表した。夏のボーナス商戦が始まる前の6月前半の段階で,テレビ/レコーダーともに前年比で大きな伸びを見せており,北京オリンピック需要が順調に立ち上がっていることが分かった。

 同ランキングは,全国26社,約2350店舗のPOSデータを集計したもの。例年はデジタル家電/パソコン関連の全体の販売金額は,4月から6月にかけて下降するという。ところが2008年は4月から6月にかけて上昇し,6月前半(1~15日)の販売金額は前年同期比105.1%だった。けん引したのが,北京オリンピック需要だと考えられる薄型テレビとDVD・HDDレコーダーの伸びだ。

 薄型テレビは,液晶テレビ,PDPテレビともに売り上げが大幅に増加している。台数ベースでは,液晶テレビの6月前半分が前年同期比133.8%,PDPテレビの6月前半分は150.5%と大きく伸びた。金額ベースでは,液晶テレビの6月前半分は124.6%,PDPテレビの6月前半分は114.6%だった。PDPテレビの販売金額は,2008年1月から5月まで一貫して前年同期を割り込んでおり,前年を上回ったのは初めてだという。BCNによると,薄型テレビのオリンピック需要のピークは7月の見通しで,台数で140%,金額で130%程度の伸びを予測している。

 液晶テレビで大きく伸びているのは40型以上の製品。40型~50型未満,50型以上のそれぞれのカテゴリで,台数ベースで前年に比べ約2倍の高い伸びを示している。40型~50型未満の中では,これまで中心だった42型の勢いが落ちているのに対し,46型が大きく伸びているという。PDPテレビでも,けん引しているのは40型~50型未満だ。特に,今年,新たに登場した46型の伸びが大きいという。一方,50型以上のPDPテレビは価格が高いこともあり,40型~50型未満ほどには伸びていない。

 DVD・HDDレコーダーも,台数ベースで5月が前年同期比106.9%,6月前半が125.2%,金額ベースで5月が118.6%,6月前半が138.3%と大きく増加した。6月前半の構成比は,台数ベースでBlu-ray(BD)レコーダーが35.1%,DVDレコーダーが64.9%なのに対し,金額ベースではBDレコーダーが53.9%で,DVDレコーダーの46.1%を上回っている。7月にはBDレコーダーの金額ベースの構成比が60%を超える見込みだという。7月の見通しは,台数で120%,金額で125%程度。オリンピック需要のピークは,薄型テレビより遅い8月上旬を予想している。日本選手の活躍によっては,オリンピック期間中の8月中旬まで需要のピークが続く可能性もあるという。

 BDレコーダーのメーカー別シェアでは,1~3月まではソニーが圧倒的に強かったが,4月からは松下電器産業が新製品で攻勢をかけ,現在はソニーと松下が4割前後のシェアでほぼ拮抗し,それをシェア2割強のシャープが追う展開になっている。

 なお,ダビング10の延期はレコーダーの売り上げにはほとんど影響していないという。BCNチーフアナリストの田中繁廣氏は「そもそもダビング10自体が一般の消費者には認知されていないのではないか」と語った。逆にいえば「ダビング10が解禁になっても売り上げにはそれほど影響しないのではないか」(田中氏)という。