米Apple Inc.は,「Worldwide Developers Conference 2008(WWDC 2008)」の基調講演で,iPhoneやiPod touch上で動作するアプリケーション・ソフトウエア向けに「Apple Push Notification Service」と呼ぶメッセージ転送サービスを提供することを明らかにした。

 Apple社によれば,米eBay社のオークション用クライアント・ソフトウエアや,インスタント・メッセージングのクライアント・ソフトウエアなど,サーバー上のサービスと連携して動作するソフトウエアでは,ユーザーがクライアント・ソフトウエアを起動していないときにも,サーバー側からメッセージをプッシュしたいという希望があった。Apple Push Notification Serviceサービスは,この要求に応えるもの。例えば,ユーザーがiPhone上でeBay社のソフトウエアを起動していない場合でも,オークション結果を知らせるメッセージをiPhoneに送れる。

 Apple Push Notification Serviceでは,iPhone上のアプリケーション・ソフトウエアが終了した後も,Apple社が運営するサーバーが個別のiPhoneとのIP接続を維持する。アプリケーション・ソフトウエアの開発者は,Apple社のサーバーを通してユーザーのiPhoneにメッセージを送ることができる。この機能により,アプリケーション・ソフトウエアをバックグラウンドで動作させる必要がなくなるため,電池寿命が延び,マイクロプロセサの負担が減るという。

 Apple社は,Apple Push Notification Serviceを2008年9月から正式に開始する予定。それに先立ち,第三者のソフトウエア開発者向けに2008年7月にサービスを公開する。