フェアリーエンジェルが建設中の福井工場
フェアリーエンジェルが建設中の福井工場
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 三菱化学は,2009年末ごろにも植物工場に向けて,LEDと太陽電池を組み合わせた照明システムを発売する。蛍光灯よりも寿命が長いLEDと太陽光によって電気代をまかなう太陽電池を組み合わせた照明システムを用いることで,照明に要するコストを現状に比べて30%程度減らせるという。野菜などを効率的に栽培できるとして,蛍光灯などの照明光を活用する植物工場の設置件数は増えているが,照明に掛かる電気代や光源の交換費用などによって栽培コストを引き下げにくいという課題があった。

 事業参入に先立ち三菱化学は,野菜栽培ベンチャーであるフェアリーエンジェルの新工場に,LEDと太陽電池による照明システムを試験的に導入する。植物工場のノウハウを持つフェアリーエンジェルや照明器具メーカーのシーシーエスと協力しながら,照明システムの最適化に向けた共同実験を始める。フェアリーエンジェルの新工場は福井県美浜町に建設中であり,間もなく稼働する。この工場の一部に,LEDと太陽電池による照明システムを導入する。フェアリーエンジェルは将来的に植物工場のプラント販売を視野に入れており,今回共同開発する照明システムを今後のプラント販売に生かす考えである。なお,同工場の栽培ラインの多くは,蛍光灯と通常の電源を用いたシステムを使う。三菱化学はフェアリーエンジェルに約16%を出資している。

三菱化学のLEDチップや蛍光体を活用,将来は有機太陽電池も

 利用するLEDは,三菱化学が手掛けるLEDチップと蛍光体材料を用いたものという。当初は,他社がLEDチップと蛍光体材料を組み合わせてLEDに仕立てる工程を手掛ける。使用するLEDの詳細は「最適化する過程で決めていく」(フェアリーエンジェル)。白色LEDや青色LED,赤色LEDなどを試すとみられる。共同実験で用いるLEDは三菱化学の製品のほか,発光色によっては他社から調達する場合もあるもよう。

 照明システムに使う太陽電池は,まずはSi系の製品を調達する予定。三菱化学は2015年の市場参入を目標に有機太陽電池の開発を進めており,将来は植物工場向け照明システムにも有機太陽電池を展開したい考えである。

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