Snapdragonを実装したボード
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中央のチップがSnapdragon
中央のチップがSnapdragon
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Qualcomm社のGill氏
Qualcomm社のGill氏
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画面サイズが4〜6型の携帯機器をPCD,7〜12型をMCDと呼んでいる
画面サイズが4〜6型の携帯機器をPCD,7〜12型をMCDと呼んでいる
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PCDおよびMCDの市場が大きく拡大すると見込む
PCDおよびMCDの市場が大きく拡大すると見込む
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PCDおよびMCDの市場が大きく拡大すると見込む
PCDおよびMCDの市場が大きく拡大すると見込む
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 米Qualcomm Inc.は,携帯機器などに向けたチップ「Snapdragon」の動作の実演を公開した。動作周波数が最大1GHzと高速ながら,消費電力を500mW以下に抑えることで,携帯端末での利用を可能にした。いわゆるMID(mobile internet device)など,小型インターネット端末などに向け,早ければ年内にも出荷する方針だ。

720pのHDTV動画も処理可能

 2008年5月28日からQualcomm社が米国サンディエゴで開催中のイベント「BREW 2008」にあわせ,記者説明会で見せたもの(ホームページ)。Snapdragonは,Qualcomm社が独自開発したARM互換のアプリケーション・プロセサ「Scorpion」を備えるほか,同社として第6世代に相当するDSPコアを集積する。ハイエンドのマルチメディア処理の実行に向けたチップで,720pのHDTV動画処理や,高速の3次元グラフィックス描画処理などが可能としている。「3次元グラフィックスの描画処理性能は,MSM7000シリーズの3倍の能力がある」(QUALCOMM CDMA Technologies,QCT Product Management,DirectorのManjit Gill氏)という。このほか移動体通信の制御機能や無線LANなどのインタフェース処理機能を備える(Tech-On!の関連記事)。

 Qualcomm社が公開したのは,Snapdragonを実装した評価用ボードである。WVGAサイズの液晶パネルを使い,動画像の処理や,表計算ソフトなどビジネス・アプリケーションの実効処理,またGoogle Mapsの閲覧などを見せた。「Microsoft Office Excel」や「Microsoft Office Powerpoint」などのアプリケーション・ソフトウエアを,ノート・パソコン並みの操作性で実行しながらも,チップからの発熱が少なく,ヒートシンクや冷却用ファンなどが不要である様子を示した。

 Qualcomm社は,小型インターネット端末の中でも,画面サイズが4~6型程度で音声機能を重視した端末カテゴリを「PCD(pocketable computing devices)」と呼び,また画面サイズが7~12型の小型ノート・パソコンを「MCD(mobile computing devices)」と呼んでいる。同社は,これら機器をあわせた市場が,2007年の30万台から,2012年には9450万台まで拡大すると見込んでいる。同様のカテゴリの機器に向けた製品では,米Intel Corp.の「Atom」がある。Qualcomm社は,消費電力が低いことなどを強みとして,機器メーカーに採用を働きかけていく考えだ。