NTTドコモは2008年5月27日の2008年夏商戦モデル発表会で(Tech-On!の関連記事1),個人向けの無線LAN通信機能搭載端末「N906iL onefone」を発表した。IEEE802.11a/b/gに対応する。同社はこれまでFOMAと無線LANの両方に対応する端末を2機種(「N900iL」および「N902iL」)販売してきたが,いずれも企業向けだった。個人向けに販売する端末は今回のN906iLが初めてとなる。
これに合わせて同社は,宅内でのブロードバンド接続やIP電話を可能にするサービス「ホームU」を発表した(図1,発表資料)。月額1029円の利用料を支払ったユーザーが,固定通信網を経由して最大54Mビット/秒での高速通信やIP電話での通話ができる。ホームUの利用には,マルチセッションに対応するブロードバンド回線(現在は「Bフレッツ」「フレッツ・ADSL」「フレッツ・光プレミアム」の3種類のみ)と,市販の無線LANルーターの中でIP電話の通話品質を確保できるもの(NTTドコモは「無線QoS対応」と表現する)が必要になる。
IP電話同士の通話はタダ
月額利用料の支払いと,パケット通信料の定額契約を必須とする代わりに,ホームUのIP電話同士の通話料を無料にするほか,ホームUのIP電話からホームU以外への通話料を3割引相当にする。N906iLを発売する予定の2008年6月にサービスを開始する。
N906iLは,FOMAと無線LANのどちらの回線を優先するかについて,(1)FOMA優先,(2)無線LAN優先,(3)FOMAのみ,(4)無線LANのみ,という4種類の設定を選べる(図1)。ホームUのIP電話は,FOMAでの通話とは異なる「050」番号を使うものであり,通話中の回線切り替えには対応しない。また,公衆無線LANへの対応は「検討はしているが,今回は非対応にした」(説明員)。
このほかNTTドコモは,2008年5月22日に発表した,外出先から家庭内のコンテンツを視聴・閲覧できるサービス「ポケットU」のデモも見せた(図3,Tech-On!の関連記事2)。ブロードバンド接続した自宅のパソコンに専用のソフトウエア「ポケットUソフト」をインストールしておくことで,そのポケットUソフトが管理する映像や音楽,画像,文書などのファイルをFOMA回線経由で見られるようにするものである(図4)。利用料金は月額525円。将来的には,家庭内ネットワークに接続したデジタル民生機器内のコンテンツをUPnPで受信して携帯電話機への転送用に蓄積しておく機能もポケットUソフトに追加する予定とする。