2008年5月23日に予定されており,中止になった会議とはこのフォローアップWGである。「当初のもくろみでは23日のフォローアップWGで,関係者で内々の合意を形成し,デジコン委の第38回会合での合意に備える予定だった」(関係者)という。フォローアップWGは「第38回会合の直前に招集される可能性が残っている」(前述の関係者)というものの,そこで合意できる可能性はかなり低い。

「2008年6月2日午前4時」に間に合わない

 というのは,デジコン委でダビング10実施を合意するためには,私的録音録画補償金制度の抜本的な改正について議論している文化庁の「私的録音録画小委員会」(録録小委,文化審議会 著作権分科会の下部組織)での議論を決着させる必要があるからだ。

 両者が連動しているのは,コピーワンス緩和の条件として第4次中間答申に記述された「クリエーターが適正な対価を得られる環境を実現」という文言に基づき,権利者側がダビング10対応の地デジ録画機を,私的録音録画補償金制度の適用対象に加えることを求めているからだ。一方のメーカーは「同制度と対価の還元は本来無関係」と主張しているだけでなく,録録小委などの場で従来から,「DRM技術などの発展で制度そのものが不要になっている」と補償金制度の廃止を主張してきた。両者の対立は埋まらず,当初2007年内に結論を出すはずだった録録小委は,2008年度も継続審議になった。

 録録小委は2008年5月8日に今期第2回会合を開き,iPodなどの携帯音楽プレーヤーやダビング10対応のHDD録画機などを,補償金制度の対象機器に加える改正案を文化庁が提示した。権利者や学識経験者はおおむね受け入れる方針を示したが,家電メーカーの業界団体である電子情報技術産業協会(JEITA)の委員らから,「将来的に補償金制度を廃止する方向が見えない。むしろ対象機器を拡大していく方向性もある」といった強い反対意見が出たことで,合意に至る方向性を見いだせなかった。