図1 微弱電波を利用したワンセグ送信機
図1 微弱電波を利用したワンセグ送信機
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図2 デモンストレーションの様子
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 NECソフトは,放送範囲が3m程度あるいは数cm以内といった微弱電波を用いるワンセグ送信機を試作し,2008年5月14~16日に東京ビッグサイトで開催された「組込みシステム開発技術展(ESEC 2008)」に出展した。ワンセグ受信機能を備えた携帯電話機やカーナビなどで店舗情報を受信するといった,放送エリア近傍の特定情報を流す用途を想定する。「遊園地の待ち時間や電車での移動時間など,ユーザーが暇な時間に周辺情報をプッシュ型で送れる」(同社の説明員)。地域情報は現状の携帯電話網でも得られるが,「現状では自分で情報検索する手間がかかる。ワンセグ放送を利用すれば,その手間を軽減できる。ワンセグ・サービスは双方向になっているので,気に入った情報へのアクセスも容易」(同)。同社のデジタル・サイネージ向けパッケージ・ソフトウエア「SmartPannel」と連携させれば,情報の登録や放送が簡単に実行できるとする。

 微弱電波を用いるワンセグ放送は,現段階では実現できない。しかし,2007年12月に放送法改定案の法案が参議院で可決され,今後,ワンセグ放送が自由化する見込みという。微弱電波を用いるワンセグ放送を行うための免許も不要とする。このような自由化を見越して,NECソフトは今回のワンセグ送信機を試作した。実現すれば,ワンセグ放送の空きチャネルを使って特定情報の放送が可能になるとする。展示では,送信機の出力部から信号を同軸ケーブルを介して計測器に送信し,計測器のディスプレイ上に信号波形を表示することで信号が実際に送信されていることを見せていた。

 今回のワンセグ送信機は,映像や音声,文字情報などのTS信号をEthernetを介して入力することで,ワンセグ放送を実行できるというもの。放送できるチャネルは1チャネルで,470M~770MHzの範囲で放送の周波数を変更可能である。ワンセグ送信機の開発に当たり,NECソフトはNECエレクトロニクスやシマフジ電機と協力した。NECエレクトロニクスとシマフジ電機が共同開発したCPU「SEMBA 1200A」を使う。