三洋電機 研究開発本部 アドバンストエナジー研究所 先進太陽光発電開発センター センター長の田中 誠氏
三洋電機 研究開発本部 アドバンストエナジー研究所 先進太陽光発電開発センター センター長の田中 誠氏
[画像のクリックで拡大表示]
三洋電機の岐阜事業所に先進太陽光発電開発センターを新設
三洋電機の岐阜事業所に先進太陽光発電開発センターを新設
[画像のクリックで拡大表示]

三洋電機は,薄膜Si型太陽電池の開発を推進するために,「先進太陽光発電開発センター」を,2008年4月1日に設立した。異分野技術との融合で,革新的な薄膜Si型太陽電池の開発を目指す。センター長に就任した田中 誠氏に,技術開発の戦略を聞いた。(聞き手=河合 基伸)

――薄膜Si型太陽電池で目標とする,変換効率やコスト,量産時期を教えてください。

 競合他社は量産レベルの薄膜Si型太陽電池で,変換効率10~11%を狙っているようです。われわれは,その値を超える12%を狙います。その際のモジュール・コストは,現在の半分となる150円/Wになります。量産時期は2012年としていましたが,年単位で前倒しする方針です。

――薄膜Si型太陽電池の研究開発は,どのような方針で進めますか。

 デバイス構造の工夫よりも,本質的な部分にメスを入れたいと考えています。つまり,材料技術主体で研究開発を進めていきます。薄膜Si型太陽電池で今後の主流になりつつあるタンデム構造は,アモルファスSiと微結晶Siを重ねて構成します。このうち,例えばこれまでの特性を超える微結晶Siを開発したいですね。

――太陽電池の研究開発拠点である「アドバンストエナジー研究所」(兵庫県神戸市)とは別に,「先進太陽光発電開発センター」(岐阜県安八郡)を設立した狙いを教えてください。

 先進太陽光発電開発センターを設立した岐阜事業所には,薄膜Si型太陽電池の研究開発を有利に進める下地があります。一つは,薄膜技術を多用する三洋半導体の工場です。さらに,既に撤退しましたが,低温多結晶Si-TFTや有機ELといった技術の開発拠点もありました。それらを開発する技術者や過去の技術蓄積を,薄膜Si型太陽電池の開発に生かします。

詳細は,日経マイクロデバイス2008年6月号のKey Person「異分野とのシナジーで太陽電池に革新」に掲載予定です。また,2008年5月号には,田中氏の寄稿「太陽電池チュートリアル 第2回●結晶Si」を掲載しています。

この記事を英語で読む