NECの2007年度(2007年4月~2008年3月)決算は大幅な増益となった。売上高は前年度比0.8%減の4兆6171億5300万円とほぼ横バイながら,営業利益は同124.0%増の1567億6500万円と大きく伸びた。前年度は赤字だった「モバイル/パーソナルソリューション事業」と「エレクトロンデバイス事業」が黒字化。主力の「IT/NWソリューション事業」は増収増益となった。

 携帯電話機やパソコンを扱うモバイル/パーソナルソリューション事業の売上高は前年度比9.5%減の8728億6100万円,営業損益は前年度から570億円近く改善して231億7700万円の黒字になった。海外向け携帯電話機事業の縮小や,欧州の個人向けパソコン事業の売却などにより,売り上げは減ったが損益は改善した。パソコンの出荷台数は前年度比1.8%減の267万台で,国内市場シェア首位を維持している。携帯電話機の出荷台数は同14.3%減の480万台だった。

 半導体や電子部品を扱うエレクトロンデバイス事業の売上高は前年度比3.5%減の8305億5000万円だった。Liイオン2次電池や小型液晶パネルの販売減などで減収になった(Tech-On!関連記事1)。営業損益は前年度から約300億円改善して73億5400万円の黒字。半導体事業を手掛けるNECエレクトロニクスが,研究開発費や設備投資を抑制したことにより,営業損益で黒字化した(Tech-On!関連記事2)。

NGN事業は売り上げ倍増

 システム構築や通信インフラなどのIT/NWソリューション事業の売上高は前年度比3.9%増の2兆8661億7000万円,営業利益は同4.3%増の1606億2400万円だった。NGN構築事業の売上高が前年度の約2倍の2000億円に達した。同事業は2008年度に3000億円程度の売り上げを見込んでいる。

2008年度の業績見通しは,売上高4兆8000億円(前年度比4.0%増),営業利益1700億円(同8.4%増)とした。円高や研究開発費の拡大などによる減益を出荷増による増益効果やコスト削減で相殺するとし,主要3事業すべてで増益を見込む。

 携帯電話機の出荷は上期に300万台,下期に400万台,通期で700万台を計画している。計画通りに進捗すれば,2007年度に比べて約46%増となる。NECはこれまでNTTドコモ向けを中心に端末を供給してきたが「2008年度中にソフトバンクモバイル向けの供給を始める方向で検討している」(取締役 執行役員常務の小野隆男氏)とした(Tech-On!関連記事)。供給先キャリアを増やすことで大幅な出荷増を狙う。KDDI向けについても「2008年度の計画にはないが,将来は(供給を)考える」(同氏)という。