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 日本音楽著作権協会(JASRAC)は2008年5月14日,定例記者会見を行い,公正取引委員会が4月23日に独占禁止法違反の疑いで同協会を立ち入り検査した件について説明した(Tech-On!の関連記事1関連記事2)。協会理事長の加藤衛氏は,「JASRACとしての見解ではなく,あくまで個人の感想」とした上で,「立ち入り検査を受けてうれしいわけがない。放送事業者との包括契約は,欧米から始まったものであり,(JASRACでは)30年前から放送事業者の要望で行っていることだ。『いったいどこが問題なのか』と思ったのが正直なところ」と述べた。

 立ち入り検査の際,加藤氏は公取委に「どういった疑いなのか」と尋ねたが,返答はなかったという。また,「包括契約全般が問題なのか」との質問に対しては「今回は放送だけだ」と,公取委は回答したとする。現在は,公取委の検査に全面的に協力し,JASRACとしての公的なコメントは差し控えている状況である。

 会見では,「公正取引委員会による立ち入り検査について」と題した説明資料も配られた。これによると,被疑事実は「放送事業者との間で,音楽著作物の放送にかかわる著作物の使用料について,放送事業収入に一定の率を乗じる方法により算定することを内容とする契約を締結し,これを実施すること等により,音楽の著作物の放送にかかわる著作権管理事業を行う他の事業者の事業活動を排除している疑いがある」というもの。これが独占禁止法第3条違反(私的独占)の疑いに当たるという。また,刑事告発のための犯則調査ではなく,必要に応じて排除措置命令または課徴金納付命令を行うための行政調査である点にも触れている。調査にかかる期間は,一般には数カ月から1年程度であるとしている。

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